✅ 肘の内側(ゴルフ肘)と外側(テニス肘)の見分け方
✅ ゴルフ未経験でも起こる原因(仕事・育児・パソコン)
✅ 肘部管症候群との違いと「今すぐ整形外科へ」のサイン
✅ やってはいけない動作・セルフチェック3項目
✅ 整骨院でできるアプローチ
一方で肘の内側には尺骨神経も走っています。薬指・小指のしびれがある場合は「肘部管症候群」という別の疾患の可能性があり、放置すると筋力低下が残ることも。
このページでは、症状の見分け方・原因・やってはいけないことを柔道整復師が解説します。
4タイプ比較:肘・腕の痛みの見分け方
「肘の内側が痛い」「腕が痛い」という訴えは複数の原因が考えられます。まず痛む場所と症状のパターンで絞り込んでください。
(上腕骨内側上顆炎)
悪化動作:手首を曲げる・物を握る・前腕を内にひねる
しびれ:通常なし
腕の痛み
悪化動作:首を動かすと症状が変わる
しびれ:あり(広範囲)
整形外科でのMRI評価を推奨
悪化動作:肘を曲げた状態で悪化(肘枕・スマホ長時間)
しびれ:あり(薬指・小指・手のひら内側)
整形外科での神経評価が必要
テニス肘(外側上顆炎)の有病率は一般集団の約1.3%。ゴルフ肘(内側上顆炎)はその約1/3の0.4%です(Shiri R, et al. 2006)。つまり外側が圧倒的に多い。「肘が痛い=テニス肘」と思い込んでいると診断を誤りやすいため、必ず押して痛む側を確認してください。
ゴルフ肘 vs テニス肘:詳細比較
| 項目 | ゴルフ肘(内側) | テニス肘(外側) |
|---|---|---|
| 痛む場所 | 肘の内側(小指側) | 肘の外側(親指側) |
| ICD-10コード | M77.0 | M77.1 |
| 障害される筋 | 前腕屈筋群・円回内筋 | 前腕伸筋群(特に短橈側手根伸筋) |
| 悪化する動作 | 手首を曲げる・前腕を内側にひねる | 手首を反らす・前腕を外側にひねる |
| 有病率(一般集団) | 約0.4% | 約1.3% |
| 多い年代 | 40〜60代 | 30〜50代 |
| ゴルフとの関係 | ゴルフ以外(仕事・育児)でも多い | テニス以外(PC・料理)でも多い |
出典:Shiri R, et al. Am J Epidemiol. 2006;164(11):1065-74. PMID:16968862
ゴルフ肘の原因——ゴルフ未経験でも起こる
「ゴルフ肘」という名称から、ゴルフをしている人の病気と思われがちですが、実際にはゴルフが原因となるケースは全体のごく一部です。
- 重い物を持つ仕事:引っ越し・運搬業・製造ライン・農作業・介護職など
- 育児の抱っこ:乳幼児を頻繁に抱き上げる動作(産後ゴルフ肘)
- パソコン作業・マウス操作:長時間の前腕屈筋使用、特に腕が浮いた状態でのタイピング
- 料理・包丁使用:繰り返す手首の曲げ・握り動作
- ゴルフ・野球・柔道:スイング・投球動作で内側上顆に繰り返し負担がかかる
- ドライバー・電動工具の使用:前腕を内側にひねる(回内)動作の繰り返し
共通しているのは「手首を曲げる・前腕を内側にひねる動作の繰り返し」です。これらの動作を担う前腕屈筋群・円回内筋が上腕骨の内側上顆に付着しており、その付着部に微小な傷が蓄積することで痛みが生じます。
セルフチェック3項目
次の3項目を確認してください。3項目とも当てはまる場合、ゴルフ肘(内側上顆炎)の可能性が高いです。ただし自己判断での確定診断は難しく、整骨院・整形外科での評価をお勧めします。
- ✅ 押し痛みチェック:肘を少し曲げた状態で、肘の内側の骨の出っ張り(内側上顆)を親指で押すと痛みがある
- ✅ 動作チェック:手首を手のひら側に曲げる(掌屈)と、肘の内側に痛みが走る
- ✅ 握りチェック:物をつかむ・ペットボトルのふたを閉める・タオルを絞るときに肘内側が痛む
上記3項目に加えて薬指・小指のしびれ、夜間もしびれが続く、手の握力低下がある場合は、ゴルフ肘ではなく肘部管症候群(尺骨神経障害)の可能性があります。次の「警告ボックス」を必ず確認してください。
やってはいけないこと
ゴルフ肘と診断された(もしくは疑われる)場合、次の行動は症状を悪化させるリスクがあります。
- 患部を強く揉む・押す:炎症のある腱起始部に強い刺激を与えると炎症が悪化し、痛みが増すことがあります。
- 痛みを無視して動作を続ける:腱の微小断裂が蓄積して慢性化します。軽度のうちに対処することが重要です。
- 「湿布を貼ったから大丈夫」と思い込んで酷使する:湿布・NSAIDsは一時的な鎮痛効果であり、腱への負担は変わりません。痛みが取れても無理は禁物です。
- ゴルフのスイングだけやめて日常動作を放置する:重い鍋・バッグの持ち方・パソコン時の手首の角度など、日常生活の負担を同時に見直さないと改善しません。
⚠ 今すぐ整形外科へ:肘部管症候群のサイン
肘の内側の痛みの中に、尺骨神経の障害(肘部管症候群)が隠れている場合があります。次のサインがある場合は、整骨院ではなく整形外科を先に受診してください。
- 薬指・小指のしびれ:安静時・就寝中・起床直後も続くしびれ(ゴルフ肘単体では通常しびれは出ません)
- 手の力が入らない:物をつまむ・握る力が落ちた。箸が持ちにくい、ペットボトルのふたが開けにくい(運動麻痺)
- 安静時にも痛む:肘を動かしていないのに、常にうずく・ズキズキする痛みが続く
- 肘の内側に腫れ・変形がある:骨折・脱臼・骨棘(変形性肘関節症)の可能性
- 子ども・10代で肘の内側が痛む:野球肘(内側側副靭帯損傷・離断性骨軟骨炎)の可能性。成長期の疾患は整形外科での画像診断が必須
整骨院でのアプローチ
当院は、柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が在籍。整骨の手技と鍼灸を、それぞれの国家資格者が連携して組み立てる複合アプローチで対応します。
- ハイボルト電気治療:深部への高電圧パルス刺激で急性期・慢性期の疼痛緩和を目指します
- 手技療法(整骨):前腕屈筋群・肩甲帯・肘関節周囲の筋緊張を調整し、内側上顆への負担を軽減します
- テーピング:前腕屈筋群のカウンターフォース(分散)テーピングで動作時の腱起始部への負担を軽減します
- 鍼灸(国家資格をもつ鍼灸師が担当):前腕屈筋群・内側上顆付近への鍼治療で疼痛緩和・筋緊張緩和を目指します
- 動作指導:日常生活・仕事での手首の使い方・持ち方を確認し、再発しにくい動作パターンへのアドバイスを行います
薬指・小指のしびれ・握力低下がある場合は、整骨院での施術前に整形外科での診断(神経伝導検査)をお勧めします。診断が確定した後、整形外科と並行して整骨院へ通院することは可能です。ご相談ください。
肘・腕の痛みでお悩みなら
ゴルフ肘・腱鞘炎・肘の違和感でお悩みの方は、腱・筋肉の専門ページと鍼灸のページもご覧ください。
よくある質問(FAQ)
肘の内側の痛み、一度ご相談ください
「ゴルフ肘か肘部管症候群か判断できない」「整形外科と併用したい」というご相談も歓迎です。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F
- Shiri R, Viikari-Juntura E, Varonen H, Heliövaara M. "Prevalence and Determinants of Lateral and Medial Epicondylitis: A Population Study." Am J Epidemiol. 2006;164(11):1065-74. PMID: 16968862 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16968862/
- Kohia M, et al. "Medial Epicondylitis." StatPearls [Internet]. NCBI Bookshelf NBK557869. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK557869/
- 公益社団法人 日本整形外科学会「肘部管症候群」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cubital_tunnel_syndrome.html
- 日本臨床整形外科学会「肘部管症候群」https://jcoa.gr.jp/肘部管症候群/
長丘はりきゅう整骨院 院長 / 施術歴14年以上
最終更新:2026年7月27日