テニス肘 ツボ|曲池など4つの経穴の位置と押す秒数・回数|長丘はりきゅう整骨院
【結論】テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に用いられてきた経穴は、肘まわり(曲池・肘髎)だけでなく、前腕(手三里)や手の甲(合谷)のように患部から離れた場所にもあります。患部そのものを強く揉み込むのではなく、この4つを場面に応じて使い分けるのが基本の考え方です。【自分でできること】指の腹で垂直に、痛気持ちいいと感じる強さまで。患部(曲池・肘髎)は炎症が強いあいだは避け、まず合谷・手三里から。【受診の目安】安静にしていてもズキズキ痛む、肘の腫れ・熱感がある、物が持てないほどの痛み、数ヶ月改善しない場合はツボ押しより先に整形外科へ。
⚠️ ツボ押しより先に整形外科への受診を検討してほしいサイン
① 安静にしていてもズキズキと痛む(安静時痛・夜間痛)
② 肘が腫れている、押さなくても熱をもっている
③ コップを持ち上げる・タオルを絞るなど、物が持てないほどの痛み
④ セルフケアを数ヶ月続けても改善がみられない、むしろ悪化している
上記に当てはまらない一般的なテニス肘であれば、以下の4つの経穴が目安になります。
当院は、柔道整復師(国家資格)の院長・河野太朗と、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が連携してテニス肘に対応しています。前腕伸筋を伸ばすストレッチやエキセントリック運動はテニス肘ストレッチのコラムで解説していますので、本記事では指で押せる4つの経穴に絞ってまとめました。
テニス肘のツボはどう押す?——強さ・秒数・回数の基本
テニス肘のツボ押しは、指の腹で、皮膚に対して垂直に、ゆっくり圧をかけて数秒保ち、ゆっくり戻すのが基本です。強さは「痛気持ちいい」と感じるところまでで止め、鋭い痛みが走るところまでは押し込みません。爪を立てない、息を止めない、患部を揉みほぐそうと強くこねないの3つを守ってください。
テニス肘は患部(肘の外側)そのものが炎症を起こしているケガです。同じ経穴でも、患部に近い曲池・肘髎は炎症が強い時期に強く押すと悪化のおそれがあるため、まず次の章で使い分けの考え方を確認してから、4つの経穴に進んでください。
なぜ肘から離れた手のツボも使うのか
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、手首を甲側に反らす前腕伸筋群の骨付着部に繰り返し負荷がかかり、腱に微細な損傷・炎症が生じた状態です。炎症が強い患部そのもの(曲池・肘髎)を強く刺激すると、かえって炎症が広がるおそれがあるため、患部から離れた経穴(遠隔穴)である合谷を組み合わせるのが東洋医学の伝統的な考え方です。
①局所の経穴(曲池・肘髎):患部の張り・圧痛に直接アプローチ。炎症が強いあいだは軽い圧にとどめる。②中間の経穴(手三里):前腕の張りに用いられ、曲池と組み合わせて使われることが多い。③遠隔の経穴(合谷):患部に触れずに使え、外出先や炎症が強い時期でも取り入れやすい。まず合谷・手三里から始め、痛みが落ち着いてきたら曲池・肘髎を軽い圧で加えるという順番が押しやすいです。
4つの経穴と押し方の実数
ここからは、テニス肘に用いられてきた代表的な4つの経穴を紹介します。位置はWHO標準経穴部位(2008)に沿っています。どの経穴も「じわっと響く」強さで行い、鋭い痛みが出たらすぐに中止してください。
位置:肘を軽く曲げたときにできる、肘関節外側のしわ(肘窩横紋)の外側の端。手のひらを上に向けて肘を直角ぐらいに曲げると、肘の外側にできるくぼみです。肘を完全に曲げるとくぼみがより深くなり分かりやすくなります。
やり方:反対の手の親指をくぼみに当て、垂直に押し込みます。曲池は上肢の痛みに対して古くから用いられてきた代表的な経穴で、テニス肘に関する臨床文献の分析でももっとも高頻度で選ばれている経穴のひとつとして報告されています。安静時痛が強い急性期は避け、軽い圧から様子をみてください。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1〜2回
- 注意
- 安静時痛が強い時期は軽い圧にとどめる
位置:曲池から手首方向へ指幅3本分(約2寸)進んだ位置。曲池と、手首親指側にある陽渓(ようけい)を結ぶ線の上、前腕の骨の外側の際にあります。
やり方:反対の手の親指を骨の際に当て、垂直に押し込みます。前腕の張りに用いられてきた経穴で、曲池と組み合わせて使われることが多いのが特徴です。デスクワークの合間や、パソコン作業で前腕が張ってきたと感じたときにも押しやすい位置です。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日2〜3回
- 注意
- 前腕に強いだるさ・しびれがあるときは無理をしない
位置:曲池よりもやや上(肩寄り)、上腕骨外側上顆(肘の外側の骨の出っ張り)のすぐ上、外側上顆稜の前縁にあたる骨の際。まず曲池の位置を確認し、そこから指幅1本分ほど上へずらすと見つけやすくなります。
やり方:反対の手の指を骨の際に当て、垂直に押し込みます。曲池よりもさらに患部(外側上顆)に近い経穴で、圧痛を感じる一点に絞りたいときに用いられてきました。4つの経穴の中でもっとも患部に近いため、他の3つより軽め・少なめから始めてください。
- 実数
- 3秒かけて押す→5秒保つ→3秒かけて戻す ×5回
- 頻度
- 1日1回
- 注意
- 患部にもっとも近いため、急性期は避け軽い圧にとどめる
位置:手の甲側、人差し指の骨(第2中手骨)のほぼ中央、親指側の縁。親指と人差し指を軽く閉じたときにできる筋肉の盛り上がりの、最も高いあたりです。
やり方:反対の手の親指を骨の際に沿わせるように当てて押し込みます。合谷は上肢の痛みに対して古くから用いられてきた要穴のひとつで、肘に直接触れなくても使えるのが最大の利点です。安静時痛が強く曲池・肘髎を押しにくい時期でも取り入れやすく、会議中や外出先でも服を脱がずに押せます。
- 実数
- 5秒かけて押す→5秒保つ→5秒かけて戻す ×5回(左右)
- 頻度
- 1日2〜3回
- 注意
- 妊娠中は避けてください
一覧表:位置・秒数・回数・頻度
| 経穴(読み・コード) | 位置 | 押し方の実数 | 1日の頻度 | 使い方の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 曲池(きょくち/LI11) | 肘を曲げた時にできる肘外側のしわの外端 | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 1〜2回 | 局所の代表穴。急性期は軽めに |
| 手三里(てさんり/LI10) | 曲池から手首方向へ指幅3本分 | 5秒→5秒→5秒 ×5回 | 2〜3回 | 曲池と組み合わせて使いやすい |
| 肘髎(ちゅうりょう/LI12) | 曲池のやや上・外側上顆のすぐ上 | 3秒→5秒→3秒 ×5回 | 1回 | 圧痛のピンポイントに。もっとも軽めに |
| 合谷(ごうこく/LI4) | 手の甲・第2中手骨中央の親指側 | 5秒→5秒→5秒 ×5回(左右) | 2〜3回 | 患部に触れず使える。妊娠中は避ける |
押してはいけない場面と中止基準
ツボ押しは取り入れやすいセルフケアですが、押さずに様子をみるべき場面があります。次に当てはまるあいだは、少なくとも患部に近い経穴(曲池・肘髎)は押さないでください。
押してはいけない場面
- 安静時痛が強い急性期に、曲池・肘髎を強く押す——炎症が広がるおそれがあります。この時期は合谷・手三里にとどめ、圧も弱めにしてください
- 患部を揉みほぐそうと指でグリグリ強く押し込む——テニス肘は腱の炎症であり、強く揉むことで悪化しやすいケガです
- 妊娠中に合谷を押す——合谷は妊娠中に避けるべきとされる経穴のひとつです。押す前に産婦人科または鍼灸師にご相談ください
- 肘に熱感・強い腫れがある——感染性の炎症など、別の原因が疑われる場合があります
- 肘まわりに湿疹・傷・打撲がある部位、皮下出血しやすい薬を服用中の方
- 食後すぐ・飲酒後・体調不良のとき
すぐに中止する基準
- 押している最中・あとに手や指先へしびれや電気が走る感覚が出た
- 押したあと痛みが前より強くなった、翌日まで残った
- 押した場所にあざができた、熱をもった
- 数週間続けても変化がなく、むしろ握力が落ちている・物が持てなくなっている
中止基準に当てはまった場合、様子をみるのではなく整形外科または当院への相談をご検討ください。
当院で多い相談内容
当院にテニス肘でご来院される方にお話を伺うと、痛む場所(肘の外側)そのものを自分の指で強く押し込み、グリグリと揉みほぐそうとしていたという方が少なくありません。押しても痛みが変わらない、むしろ翌日に強くなったというお声を聞くこともあります。一方で、曲池・手三里・合谷のように患部から少し離れた経穴を軽い圧で使っていた方は、日常生活の中で無理なく続けられていた印象があります。「強く押し込む」よりも「場所を選んで軽く続ける」ことが大切だと感じています。
研究で報告されていること
曲池・手三里・合谷をはじめとする経穴への鍼治療については、複数の研究があります。ただし本記事で紹介しているのはご自身の指で押す「指圧」であり、鍼治療の研究結果をそのまま指圧の効果として保証するものではない点にご留意ください。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)に対する鍼治療の有効性を検証した研究です。10件のランダム化比較試験・参加者796人を統合した解析で、鍼治療は薬物療法・局所注射(ブロック療法)と比較して臨床的な有効率・痛みの軽減の面で優れていたと報告されました。一方で、偽鍼(シャム鍼)との比較では統計的に有意な差は認められませんでした。著者らは対象となった試験の質が全体的に高くない点も明記しており、より質の高い研究の必要性を指摘しています。(Zhou Y, Guo Y, Zhou R, et al. "Effectiveness of Acupuncture for Lateral Epicondylitis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials." Pain Research and Management. 2020;2020:8506591. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32318130/)
テニス肘に対する鍼灸処方を対象に、どの経穴がどれくらいの頻度で使われているかを分析した研究です。42件の臨床文献を分析した結果、もっとも高頻度で使われていた経穴はアシ点(阿是穴/圧痛点)に次いで曲池(LI11)・手三里(LI10)・合谷(LI4)であり、経穴の組み合わせでは曲池と手三里の組み合わせが最も支持率が高かったと報告されています。(Xu Y, Chen M, Dong Y, et al. "Data Mining of Acupuncture Prescriptions for Lateral Epicondylitis: A Literature-Based Analysis of Acupoint Patterns and Parameters." Journal of Pain Research. 2026;19:583466. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41938221/)
※上記は一般的な情報として紹介するもので、当院の施術効果を保証・断定するものではありません。感じ方には個人差があります。
よくある質問(FAQ)
テニス肘の原因・整骨院での施術内容(ハイボルト電気治療・鍼治療・テーピング)・保険適用については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。
テニス肘の原因と整骨院での対応を詳しく見る →テニス肘のツボ、押す位置が合っているか確かめませんか
「押してもピンとこない」「患部を押していいのか分からない」——位置の確認だけでもご相談ください。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
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- Zhou Y, Guo Y, Zhou R, Wu P, Liang F, Yang Z. "Effectiveness of Acupuncture for Lateral Epicondylitis: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials." Pain Research and Management. 2020;2020:8506591. PMID: 32318130(自己検算:タイトル・著者Zhou Y・誌名一致確認済み/eutils esummary・efetch照合/retraction表示なし。2022年に図表の訂正(Corrigendum, PMID 35222769)あり)
- Xu Y, Chen M, Dong Y, Wang F, Lai Q, Ye Y, Huang J, Xu Y, Shi M, Zhan Q. "Data Mining of Acupuncture Prescriptions for Lateral Epicondylitis: A Literature-Based Analysis of Acupoint Patterns and Parameters." Journal of Pain Research. 2026;19:583466. PMID: 41938221(自己検算:タイトル・著者Xu Y・誌名一致確認済み/eutils esummary・efetch照合/retraction表示なし)
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月13日