肘・前腕

テニス肘 ストレッチ|前腕伸筋の3つの手技と秒数・やってはいけない動き

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のセルフケアは、前腕伸筋群を伸ばすストレッチ(保持15〜20秒×2〜3セット・1日3〜5回)を軸にした3つの手技が基本です。肘の外側の骨の出っ張りに繰り返し牽引ストレスがかかることで腱が傷む使い過ぎ障害で、手首を反らす動作を減らさない限りストレッチだけでは改善が長引きやすい面があります。

特に負荷が集中しやすいのが短橈側手根伸筋(ECRB)の骨付着部です。押さえておきたい手技は、①前腕伸筋のストレッチ、②安静時痛が落ち着いてから行うタイラーツイスト(エキセントリック運動)、③セルフ軽擦の3つ。どの手技も痛みの出ない範囲にとどめるのが大前提で、安静時痛・しびれ・熱感が強い急性期は無理に伸ばさず、下記の受診目安を先に確認してください。

⚠️ 整形外科・整骨院への受診を検討する目安
① 安静にしていても痛む・夜間痛で目が覚める
② 手や指にしびれ、力が入りにくい感覚がある
③ 肘が腫れて熱をもっている
④ セルフケアを2〜3週間続けても改善しない、または悪化している

上記に当てはまる場合は、自己判断で強い負荷をかけず、早めに評価を受けてください。

ラケットを握ったことがなくても、肘の外側の痛みは起こります。フライパンを振る、タオルを絞る、マウスを長時間操作するといった前腕伸筋群を酷使する動作が積み重なるだけで発症します。まずは伸筋群に効くストレッチと、症状を長引かせるNG動作から押さえていきましょう。

📋 この記事の目次
  1. テニス肘とは?前腕伸筋のどこが痛むのか
  2. 手技1|前腕伸筋ストレッチ(デスクワークの合間に)のやり方は?
  3. 手技2|タイラーツイストは安静時痛が落ち着いてから
  4. 手技3|セルフ軽擦(お風呂上がり・就寝前に)のやり方は?
  5. テニス肘の3手技、いつ・何回行う?一覧表
  6. テニス肘のセルフケアで悪化を招くNG動作とは?
  7. テニス肘のセルフケアで改善が乏しいとき、当院でできることは?

テニス肘とは?前腕伸筋のどこが痛むのか

テニス肘(正式名称:上腕骨外側上顆炎)は、手首を甲側に反らす・指を伸ばす動作を担う前腕伸筋群、なかでも短橈側手根伸筋(ECRB:Extensor Carpi Radialis Brevis)の骨付着部(肘の外側の骨の出っ張り=上腕骨外側上顆)が、手首を反らす動きの繰り返しに耐えきれず微細に傷んでしまうことで起こります。

「テニス肘」という呼び名はバックハンドの動作に由来しますが、発症の場面はコートの外にもたくさんあります。フライパンを振る・タオルや雑巾を絞る・マウスを操作する・重い荷物を手のひらを下にして持つといった、手首を反らして力を込める動きの積み重ねが原因になり得ます。フィンランドの一般成人(30〜64歳)を対象とした疫学調査では、上腕骨外側上顆炎の有病率は1.3%で、45〜54歳の年齢層に最も多く見られたと報告されています(Shiri R et al., American Journal of Epidemiology 2006, PMID 16968862)。

手技1|前腕伸筋ストレッチ(デスクワークの合間に)のやり方は?

1つ目に押さえたいのが、前腕伸筋群を痛みの出ない範囲でゆっくり伸ばすストレッチです。急性期でも慢性期でも取り入れやすい手技です。

気づいたときに/症状が出てすぐの時期に
前腕伸筋群ストレッチ
対象筋肉:短橈側手根伸筋(ECRB)・総指伸筋

腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらが床を向くようにします。反対の手で手の甲側から指先をそっと包み込み、手首を掌屈方向(手のひら側)へじわじわ曲げていきます。外側の前腕から肘にかけて張り感が出たところでストップし、反動をつけず、あくまで痛みが出ない範囲でキープします。

保持15〜20秒×2〜3セット・1日3〜5回

手技2|タイラーツイストは安静時痛が落ち着いてから

安静にしていても痛む状態が和らいできたら次に取り入れたいのが「タイラーツイスト」です。これは伸ばされながら力を発揮するエキセントリック運動の代表例で、ただ伸ばすだけの通常のストレッチと違い、伸筋腱に張力をかけながらコントロールして戻していく点に意味があります。

安静時痛が落ち着いてきたら(急性期を過ぎてから)
タイラーツイスト(伸筋群のエキセントリック運動)
対象筋肉:短橈側手根伸筋(ECRB)

肘掛けや机の端に前腕をのせ、手首をしっかり反らした位置から始めます。反対の手やセラバンド・軽いダンベルで軽く抵抗をかけながら、手首を手のひら側へゆっくり下ろしていきます。下ろす局面に3〜4秒かけて、勢いをつけずコントロールすることを意識してください。

戻す動作3〜4秒×10〜15回×3セット・1日1回
📚 タイラーツイストの根拠(Tyler TF et al., J Shoulder Elbow Surg 2010)

慢性の上腕骨外側上顆炎の患者を対象にした前向き研究で、通常の理学療法に手首伸筋のエキセントリック運動を追加したグループは、通常の理学療法のみのグループと比べて痛み・握力・機能の改善が上乗せされたと報告されています(PMID 20579907)。ただし急性期の強い痛みがある段階でいきなり始めるのではなく、症状が落ち着いてから段階的に取り入れるのが安全です。

手技3|セルフ軽擦(お風呂上がり・就寝前に)のやり方は?

3つ目は、外側上顆の周囲にたまった張りをゆるめるセルフ軽擦です。ゴリゴリ押すのではなく皮膚を撫でる程度の力加減が基本で、入浴後の温まった体や就寝前のリラックスタイムに向いた手技です。

お風呂上がり・就寝前に
前腕伸筋起始部のセルフ軽擦
対象筋肉:短橈側手根伸筋・総指伸筋の起始部(上腕骨外側上顆周囲)

利き手と反対の指の腹を使い、肘の外側の骨の出っ張り(外側上顆)から少し下の筋腹にかけて、皮膚の上を軽くすべらせるように横方向へさすります。心地よいと感じる強さより少し弱いくらいの圧にとどめ、強い圧で揉みほぐすような刺激は避けてください。

1回あたり10〜20秒、2〜3か所を1日1〜2回

テニス肘の3手技、いつ・何回行う?一覧表

3つの手技は向いているタイミングがそれぞれ異なります。使うシーンで迷ったら、下の一覧を参考にしてください。

技名 対象筋肉 時間・動作 回数 頻度 向いている時期
前腕伸筋ストレッチ 短橈側手根伸筋・総指伸筋 保持15〜20秒 2〜3セット 1日3〜5回 急性期〜慢性期いつでも
タイラーツイスト 短橈側手根伸筋(ECRB) 戻す動作3〜4秒 10〜15回×3セット 1日1回 じっとして痛まなくなってから
セルフ軽擦 前腕伸筋起始部(外側上顆周囲) 10〜20秒 2〜3か所 1日1〜2回 時間帯を問わず(強い圧は禁物)

テニス肘のセルフケアで悪化を招くNG動作とは?

テニス肘は、痛む場所を強くもみほぐそうとする対処がかえって伸筋腱への刺激を強め、長引かせてしまうことがあります。次のような動きには注意してください。

⚠️ 手技を中止する目安:ストレッチやタイラーツイストを行っている最中・翌日に鋭い痛み、しびれ、患部の腫れの増強が出た場合は、すぐにその手技をやめて受診を検討してください。

🏥 当院での現場観察

当院にテニス肘で来院される方には、テニスの経験がない、あるいはラケットを長年握っていない方も珍しくありません。フライパンを振る、重い鍋を持ち上げる、タオルや雑巾を絞る、抱っこや荷物運びといった家事・育児の動作をきっかけに痛みへ気づいたという声が目立ちます。

この記事で引用した研究の一覧

研究名 対象人数 結果(限界含む)
Shiri R et al., American Journal of Epidemiology, 2006(PMID 16968862)疫学調査 本文に人数の記載なし(フィンランドの一般成人30〜64歳が対象) 上腕骨外側上顆炎の有病率は1.3%で、45〜54歳の年齢層で最も多かった
Tyler TF et al., Journal of Shoulder and Elbow Surgery, 2010(PMID 20579907)前向き研究 本文に人数の記載なし(慢性の上腕骨外側上顆炎の患者が対象) 通常の理学療法に手首伸筋のエキセントリック運動を追加したグループは、通常の理学療法のみと比べて痛み・握力・機能の改善が上乗せされた。急性期の強い痛みがある段階でいきなり始めるのではなく、症状が落ち着いてから段階的に取り入れるのが安全

テニス肘のセルフケアで改善が乏しいとき、当院でできることは?

セルフケアだけでは改善しきらない場合や、受診の目安に該当する場合は、専門家の目で確認してもらうことをおすすめします。当院では柔道整復師が前腕伸筋群の動きと圧痛のポイントを調べ、必要に応じてハイボルト電気施術(炎症を抑え、痛みをやわらげる施術)やテーピングによる負担軽減をご提案しています。

手首を反らしすぎないよう支えるテニス肘用サポーターの選び方もアドバイス可能です。前腕の張りがしつこく残るケースでは、国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が在籍しており、鍼灸による緊張緩和もご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

前腕伸筋のストレッチと、安静時痛が落ち着いてから行うエキセントリック運動(タイラーツイスト)は、海外の臨床研究で通常の理学療法に上乗せする形で痛み・握力の改善が確認されている方法です(Tyler TF et al., J Shoulder Elbow Surg 2010, PMID 20579907)。ただしセルフケアだけで改善が乏しい場合や、安静時痛・しびれが続く場合は、整骨院や整形外科での評価をおすすめします。
前腕伸筋のストレッチは、デスクワークの合間や気づいたタイミングで1回15〜20秒×2〜3セットを目安に、1日3〜5回取り入れてみてください。無理に伸ばしきろうとせず、張りを感じる手前で止めるのが長続きのコツです。
タイラーツイストは、いわゆる普通のストレッチとは仕組みが異なります。手首を反らした状態からスタートし、軽い抵抗に逆らいながらゆっくり戻していくことで、伸筋腱に「伸ばされながら力を出す」負荷(エキセントリック負荷)をかける運動です。安静時痛が落ち着いてきた段階で、戻す動作に3〜4秒かけて10〜15回×3セットを目安に取り入れます。急性期の強い痛みがある時期にいきなり始めるのは避けてください。
安静にしていても痛む、夜間に痛みで目が覚める、患部が熱をもって腫れているといった急性期の症状がある間は、強いストレッチやエキセントリック運動は控え、まず負担になっている動作を減らすことを優先してください。痛みの出ない範囲での軽いストレッチにとどめ、症状が落ち着いてから段階的に運動の負荷を上げていきます。
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、手首を甲側に反らす前腕伸筋群を使い過ぎることで起こるため、テニスの経験がなくても発症します。フライパンを振る、タオルを絞る、重い荷物を手のひらを下にして持つ、マウス操作を長時間続けるといった、日常生活や仕事の中の何気ない動作の積み重ねで発症するケースが多く見られます。

テニス肘についてもっと詳しく知りたい方へ

外側の痛みがなかなか引かない、原因やメカニズムを詳しく知りたいという方は、テニス肘の専門コラムもぜひチェックしてみてください。当院でどのような検査・施術を行っているかも解説しています。

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外側の痛みが引かないテニス肘、お気軽にご相談ください

「伸筋群のストレッチを続けても外側の痛みが引かない」「原因の動作を仕事上どうしてもやめられない」——心当たりのある方はお早めにご相談ください。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。

福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台

出典・参考文献
  1. Shiri R, Viikari-Juntura E, Varonen H, Heliövaara M. "Prevalence and determinants of lateral and medial epicondylitis: a population study." American Journal of Epidemiology, 2006; 164(11): 1065–1074. PMID: 16968862
  2. Tyler TF, Thomas GC, Nicholas SJ, McHugh MP. "Addition of isolated wrist extensor eccentric exercise to standard treatment for chronic lateral epicondylosis: a prospective randomized trial." Journal of Shoulder and Elbow Surgery, 2010; 19(6): 917–922. PMID: 20579907

監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/鍼灸施術:在籍の鍼灸師(はり師・きゅう師)が担当

最終更新日:2026年9月7日

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