食いしばり・歯ぎしり|ツボ・セルフケア

食いしばり・歯ぎしり ツボ|顎の緊張をゆるめる5つの経穴と押し方|長丘はりきゅう整骨院

🚨 ツボ押しより先に——歯科・口腔外科の受診が最優先のサイン

以下のうち1つでも当てはまる場合は、ツボを押す前に歯科・口腔外科を受診してください。顎関節そのものに問題が起きている可能性があります。

→ 顎関節症の急性増悪・顎関節の異常の可能性。歯科・口腔外科へ。ツボ押しは行わず先に受診を。
🟠 早めに歯科へ相談——ナイトガード(マウスピース)の適応かもしれないサイン

ナイトガード(マウスピース)は歯型を取ってオーダーメイドで作る歯科の領域です。市販品を自己判断で長期間使い続けるより、まず歯科で噛み合わせを評価してもらうことをお勧めします。このページのツボ押しは、歯科での対応と並行する補助的なセルフケアとしてお使いください。

【このページについて】食いしばり・歯ぎしりは、日中の無意識の噛みしめ(覚醒時ブラキシズム)と就寝中の歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)の2つに分けて考えると対処しやすくなります。東洋医学で顎まわりの緊張に伝統的に用いられてきた5つの経穴を、日中に気づいた瞬間に使うもの・就寝前のルーティンで使うものに分けて、位置の探し方・押し方・秒数・回数の実数つきで解説します。

ツボ押しは医療行為ではなく、歯科的な原因や顎関節そのものの異常を除外したうえでの補助的なセルフケアです。上記の受診サインがある場合は、ツボ押しより先に歯科・口腔外科へご相談ください。

慢性的な咀嚼筋の痛みを持つ28名を対象とした無作為化比較試験(Shenら、2009年)では、合谷(LI4)への鍼治療で顎の痛み・顎/顔のこわばり・首の痛みが有意に軽減しました(いずれもP=.04)。本ページでは、食いしばり・歯ぎしりに伝統的に用いられてきた5つの経穴を、日中に使う3穴と就寝前に使う2穴に分けて紹介します。

📊 顎の筋肉の痛みと鍼・ツボ押しに関するエビデンスについて

Shenらの無作為化比較試験(J Orofac Pain, 2009)では、慢性的な咀嚼筋の痛みを持つ28名を対象に、合谷(LI4)への鍼治療と偽鍼を比較したところ、鍼治療群で顎の痛み・顎/顔のこわばり・首の痛みが有意に軽減しました(いずれもP=.04)(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19888488/)。また、Choらのシステマティックレビュー(J Orofac Pain, 2010)では19件のRCTを検討し、鍼治療が偽治療・スプリント療法・物理療法と比べて顎関節症の症状軽減に中等度のエビデンスがあると報告しています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20401353/)。

ただし前者は単回施術・28名という小規模な試験であり、いずれも長期の効果を保証するものではありません。ツボ押しは「伝統的に用いられてきた」セルフケアの範囲としてご理解のうえお読みください。

研究名対象人数結果(限界含む)
合谷への鍼の無作為化比較試験(Shenら、J Orofac Pain、2009年)慢性的な咀嚼筋の痛みを持つ28名合谷(LI4)への鍼治療で顎の痛み・顎/顔のこわばり・首の痛みが偽鍼より有意に軽減(いずれもP=.04)。ただし単回施術・28名という小規模な試験。
顎関節症への鍼のシステマティックレビュー(Choら、J Orofac Pain、2010年)19件のRCTを検討鍼治療は偽治療・スプリント療法・物理療法と比べて顎関節症の症状軽減に中等度のエビデンス。長期の効果を保証するものではない。
📋 このページの内容
  1. 日中型と夜間型は?——気づく瞬間が違う2つのタイプ
  2. 日中に「あ、また食いしばってた」と気づいた瞬間に使う3つの経穴は?
  3. ツボ②:下関(げかん)——顎関節のすぐそばのツボ
  4. ツボ③:合谷(ごうこく)——手だけで押せる遠隔ツボ
  5. 就寝前のルーティンで使う2つの経穴は?
  6. ツボ⑤:太陽(たいよう)——就寝前、こめかみの緊張をゆるめる
  7. 食いしばり・歯ぎしりのツボ・5つの経穴を一覧表で確認できますか?
  8. 食いしばり・歯ぎしりのツボ押しでやってはいけないことは?——中止基準と注意点
  9. よくあるご質問

日中型と夜間型は?——気づく瞬間が違う2つのタイプ

食いしばり・歯ぎしりは、いつ起きているかで対処の仕方が変わります。「日中型(覚醒時ブラキシズム)」は集中しているときに無意識に歯を噛み合わせてしまう癖で、「夜間型(睡眠時ブラキシズム)」は眠っている間に歯をこすり合わせる動きです。同じ人が両方を併せ持つことも珍しくありません。

日中型——「あ、また噛みしめてる」に気づくタイプ

夜間型——朝の顎のだるさで気づくタイプ

まず前述の受診サインに当てはまらないかを確認したうえで、以下のツボを場面に合わせてお試しください。

日中に「あ、また食いしばってた」と気づいた瞬間に使う3つの経穴は?

🔴 場面:デスクで/信号待ちで/スマホ操作中に

集中しているときほど噛みしめに気づきにくいものです。ふと気づいた瞬間に、その場で手早く行える3つの経穴を紹介します。

ツボ ①
頬車(きょうしゃ)
ST6 / Jiache
📍 位置の探し方 奥歯を強く噛みしめたときに盛り上がる筋肉(咬筋)の一番高くなる場所。下顎の角(エラ)から指1本分ほど前方・上方。力を抜くと軽いくぼみに触れる。

頬車は「胃経」に属し、咬筋の真上にあることから東洋医学では顎の緊張・噛みしめ・頬のこわばりに伝統的に用いられてきたツボです。噛みしめに気づいたらまず奥歯を離し、そのうえでこのツボをほぐすと咬筋の力みが取れやすくなります。

  1. 奥歯を軽く離し、上下の歯が触れない状態にする。
  2. 人差し指・中指の腹を左右の頬車に当てる。
  3. 力を抜きながら、小さな円を描くように優しくほぐす。
  4. ゆっくり離す。
1回の時間8〜10秒
繰り返し回数3〜5回
左右両側同時
頻度気づくたび(目安1日3回以上)
噛みしめに気づいた「その瞬間」に行うのがポイント。習慣化すると噛みしめ自体への気づきも早くなります。
ツボ ②
下関(げかん)
ST7 / Xiaguan
📍 位置の探し方 頬骨弓(耳の前、頬の骨の下側)の下縁にあるくぼみ。耳の穴から指1本弱前方。口を閉じるとくぼみに触れ、大きく口を開けると盛り上がる。

下関は「胃経」に属し、顎関節のすぐそばにあることから東洋医学では顎関節部の張り・開口時の違和感に伝統的に用いられてきたツボです。顎関節そのものに近い位置のため、頬車より弱めの圧で押します。

  1. 口を軽く閉じた状態で、人差し指の腹を左右の下関に当てる。
  2. 骨に向かって垂直に、ゆっくりと弱めの圧をかける。
  3. 「じわっとした圧迫感」が出る程度で止める。
  4. ゆっくり離す。
1回の時間5秒
繰り返し回数3回
左右両側同時
頻度1日2〜3回
⚠️ 顎関節そのものに近いツボです。強く押し込む・長時間圧迫することは避けてください。押すと鋭い痛みが響く場合は中止してください。
ツボ ③
合谷(ごうこく)
LI4 / Hegu
📍 位置の探し方 手の甲側、親指と人差し指の骨(第1・第2中手骨)が分かれる部分。人差し指の骨のキワを、手首側に向かってなぞると触れる骨の分岐点あたり。

合谷は「大腸経」の要穴で、顔面部への広い効果があるとされ、東洋医学では古くから顎・歯・顔の痛みやこわばりに用いられてきたツボです。顎から離れた手のツボのため、デスクで手を止められないときや人前でも目立たず行えます。反対の親指で骨のキワに押し込むように刺激します。

  1. 片方の手を軽く開き、反対の親指を骨の分岐点に当てる。
  2. 人差し指の骨のキワに沿って、やや強めに押し込む。
  3. 「じんとした響き」が指先まで広がる強さを目安にする。
  4. ゆっくり離す。反対側も同様に行う。
1回の時間5〜8秒
繰り返し回数5回
左右両側
頻度気づくたび(目安1日3回以上)
前述の研究(Shen 2009)で咀嚼筋の痛みに用いられたのもこの合谷です。手だけで完結するため、外出先や仕事中でも取り入れやすいツボです。

就寝前のルーティンで使う2つの経穴は?

🌙 場面:寝る前、布団に入る前の数分間に

夜間の歯ぎしりそのものはツボ押しでコントロールできませんが、就寝前に咬筋・こめかみの緊張をゆるめておくことで、力みを抱えたまま眠りに入ることを防ぎやすくなります。

ツボ ④
翳風(えいふう)
TE17 / Yifeng
📍 位置の探し方 耳たぶを軽く後ろに倒したとき、耳たぶのすぐ後ろ(耳の付け根)と顎の骨(下顎骨の後縁)との間にできるくぼみ。

翳風は「三焦経」に属し、耳たぶの後ろ・顎の骨の後ろ縁のくぼみにあることから東洋医学では顎まわりの血流・緊張に伝統的に用いられてきたツボです。照明を落とし、就寝前の落ち着いた状態で行うのに向いています。

  1. 座った、または横になった姿勢で、両手の人差し指の腹を左右の翳風に当てる。
  2. 下顎骨の後縁に向かって、ゆっくりやさしく押す。
  3. 「じわっとした圧迫感」を感じる強さで止める。
  4. ゆっくり離す。
1回の時間5秒
繰り返し回数5回
左右両側同時
頻度就寝前1回
頬車(ツボ①)と組み合わせて、耳の前後から顎全体をゆるめるのもおすすめです。
ツボ ⑤
太陽(たいよう)
EX-HN5 / Taiyang
📍 位置の探し方 眉尻と目尻を結んだ線の中央から、指1本分外側にあるこめかみのくぼみ。

太陽は経絡には属さない経外奇穴(けいがいきけつ)で、こめかみのくぼみにあることから東洋医学では側頭部の張り・眼精疲労と併せて、咬筋とは別の咀嚼筋である側頭筋(こめかみに広がる筋肉)の緊張にも伝統的に用いられてきたツボです。就寝前、目を閉じた状態で優しく行います。

  1. 目を閉じ、中指の腹を左右の太陽に当てる。
  2. 強く押さず、小さな円を描くように優しく圧をかける。
  3. 「こめかみがふっとゆるむ」感覚を目安にする。
  4. ゆっくり離す。
1回の時間5秒
繰り返し回数5回
左右両側同時
頻度就寝前1回
⚠️ 目の周囲の骨の際にあるツボです。眼球を圧迫しないよう、こめかみのくぼみの中で優しく行ってください。
🔎 当院の現場から

当院に食いしばり・歯ぎしりのご相談で来院される方は、ご本人が自覚していないケースが多く、ご家族や周囲の方に指摘されて初めて気づく方や、朝起きたときの顎のだるさ・こめかみの張りをきっかけに来院される方が目立ちます。

食いしばり・歯ぎしりのツボ・5つの経穴を一覧表で確認できますか?

ここまで紹介した5つのツボの位置・押し方の実数を一覧にまとめました。

経穴名 位置 1回の秒数 回数 頻度 使う場面
頬車(きょうしゃ) 下顎角の前上方・咬筋の高まり 8〜10秒 3〜5回 気づくたび 日中
下関(げかん) 頬骨弓下縁・耳の前のくぼみ 5秒 3回 1日2〜3回 日中
合谷(ごうこく) 手の甲・親指と人差し指の骨の間 5〜8秒 5回 気づくたび 日中
翳風(えいふう) 耳たぶ後ろのくぼみ 5秒 5回 就寝前1回 夜
太陽(たいよう) こめかみのくぼみ 5秒 5回 就寝前1回 夜

食いしばり・歯ぎしりのツボ押しでやってはいけないことは?——中止基準と注意点

⚠️ ツボ押しを中止して受診が必要なサイン

やってはいけない動作・注意点

食いしばり・歯ぎしりが引き起こす顎関節症の原因や、鍼灸×整体での施術内容、歯科との連携の考え方については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。

顎関節症の原因と鍼灸整骨院での対応を詳しく見る →
よくあるご質問
食いしばりのツボ押しはどのくらい続けると変化を感じますか?+
個人差があり、何日で変化が出るかを特定することはできません。ツボ押しは医療行為ではなく、緊急性・歯科的な原因を除外したうえでの補助的なセルフケアです。「押した直後だけ顎が軽くなる」と感じる方が多いですが、2週間以上毎日続けても顎のだるさ・こめかみの張りが変わらない、または悪化する場合は、歯科・口腔外科または整骨院・鍼灸院を受診してください。
日中に「あ、また食いしばってた」と気づいた時、その場で何をすればいいですか?+
まず奥歯を離し、上下の歯を触れさせない状態(安静空隙)に戻します。そのうえで頬車・下関・合谷のいずれかを数秒押すと、咬筋の緊張がゆるみやすくなります。

デスクワーク中や信号待ちなど、場所を選ばず行えるのは手の甲にある合谷です。気づくたびに繰り返すことが、噛みしめ癖を自覚するきっかけにもなります。
夜間の歯ぎしりにもこのツボ押しは意味がありますか?+
歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)は眠っている間の無意識の動きのため、ツボ押しで直接コントロールすることはできません。このページで紹介する翳風・太陽は、就寝前に咬筋・こめかみの緊張をゆるめておくことで、入眠時の顎まわりの力みを軽くする目的のセルフケアです。歯のすり減り・欠けが見られる歯ぎしりは、就寝前のツボ押しに加えて歯科でのナイトガード(マウスピース)作製をご相談ください。
マウスピース(ナイトガード)はツボ押しの代わりになりますか?+
代わりにはなりません。ナイトガード(マウスピース)は歯型を取ってオーダーメイドで作製する歯科の領域であり、歯や顎関節を物理的に保護する目的の器具です。

一方、ツボ押しは咬筋・側頭筋などの筋肉の緊張をゆるめる補助的なセルフケアです。役割が異なるため、歯のすり減りや欠けが気になる方は、市販品を自己判断で使い続けるより先に歯科を受診し、ツボ押しは並行するセルフケアとして取り入れることをお勧めします。
顎を動かすとカクカク・ジャリジャリ音がしますが、ツボを押しても大丈夫ですか?+
音だけで痛みを伴わない場合は、このページのツボを試していただいて構いません。ただし、音と同時に強い痛みが続く場合や、口が指2本分(人差し指と中指を並べた幅)も開かないほどの開口制限がある場合は、顎関節そのものに負担がかかっている可能性があるため、ツボ押しより先に歯科・口腔外科の受診を優先してください。
【執筆・監修者情報】
河野太朗
柔道整復師|施術歴14年以上
長丘はりきゅう整骨院(福岡市城南区)院長
Google口コミ★4.9(213件)
ツボ記述については、当院に在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が監修協力しています。
参考文献・出典
1. Shen YF, Younger J, Goddard G, Mackey S. "Randomized clinical trial of acupuncture for myofascial pain of the jaw muscles." J Orofac Pain. 2009 Fall;23(4):353-9.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19888488/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Yf Shen 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。合谷=LI4への単回鍼治療で顎の痛み等がP=.04で有意軽減、対照群(偽鍼)は有意差なしと論文内に明記。このページでも同様に記述。)
2. Cho SH, Whang WW. "Acupuncture for temporomandibular disorders: a systematic review." J Orofac Pain. 2010 Spring;24(2):152-62.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20401353/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Sh Cho 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。19件のRCTを検討し、鍼治療は偽治療・スプリント療法・物理療法と比べて中等度のエビデンスがあると論文内に明記。このページでも同様に記述。)

最終更新日:2026年9月7日

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