膝の痛み|ストレッチ・セルフケア

膝の痛み ストレッチ|太もも・お皿まわりを楽にする4つのやり方と悪化させない注意点|長丘はりきゅう整骨院

🚨 ストレッチより先に整形外科を受診してほしい症状

以下に当てはまる場合は、ストレッチを行わず整形外科を受診してください。状態によっては緊急の対応が必要です。

「ロッキング(膝が引っかかって伸びない)」が起きた場合は無理に力で伸ばさず、そのままの姿勢で整形外科に向かってください。自己矯正は半月板の損傷を広げる危険があります。

【結論】膝の痛みに対するストレッチの目的は、大腿四頭筋(もも前)・ハムストリング(もも裏)・ふくらはぎの柔軟性を保つことで膝関節への余分な圧力を分散させ、痛みをやわらげることをめざすことです。

ただし「腫れ・熱感がある時はストレッチをしない」「ロッキングが起きたら受診」の2点が膝の痛みのストレッチで最も重要な注意事項です。このページでは4種のストレッチを対象筋・秒数・回数・頻度の実数つきで解説し、中止基準・やってはいけない動作を明示します。

📊 膝の痛み(変形性膝関節症)と運動療法に関するエビデンス

Fransen Mらによるコクランデータベース系統的レビュー(Br J Sports Med, 2015;44件のランダム化比較試験・合計3,462名を解析)では、変形性膝関節症に対する運動療法が疼痛の軽減と身体機能の改善に有効であると報告されています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26405113/)。また、Mo Lらの系統的レビュー・ネットワークメタ解析(Orthop J Sports Med, 2023)では、複数の運動療法の種類を比較した結果、いずれも変形性膝関節症の疼痛・機能改善に一定の効果が認められると報告されています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37346776/)。

📋 このページの内容
  1. ストレッチを始める前に——伸ばしていい膝・控えるべき膝の見分け方
  2. ストレッチ①:大腿四頭筋ストレッチ(立位・もも前)
  3. ストレッチ②:ハムストリングストレッチ(仰向けタオル法)
  4. ストレッチ③:ふくらはぎストレッチ(壁押し)
  5. ストレッチ④:タオル挟みクアドセッティング(大腿四頭筋 等尺性収縮)
  6. やってはいけないこと・中止基準
  7. よくあるご質問

ストレッチを始める前に——伸ばしていい膝・控えるべき膝の見分け方

膝の痛みの原因はさまざまで、同じストレッチでも効果的な場合と逆効果になる場合があります。始める前に現在の状態を確認してください。

ストレッチを行ってよい状態の目安

先に整形外科を受診した方がよい状態の目安

4つのストレッチ——対象筋・やり方・実数

ストレッチ ①
大腿四頭筋ストレッチ(立位・もも前)
対象筋:大腿四頭筋(大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋)

大腿四頭筋は膝のお皿(膝蓋骨)を通って脛骨につながる大きな筋肉で、この筋肉が硬くなると膝蓋骨への引っ張り力が増し、膝前面の痛みや変形性膝関節症の症状を悪化させます。立位で膝を曲げてもも前を伸ばします。

  1. 壁や椅子の背もたれに片手を置いてバランスをとる。
  2. 片足の足首を同側の手で後ろから持ち、ゆっくり踵をお尻に近づけるように膝を曲げる。
  3. もも前(大腿部前面)に「じわー」とした伸び感が出る角度でキープする。
  4. 膝が外側に開かないよう、膝を揃えた状態を維持する。
  5. ゆっくり元に戻し、反対側も行う。
保持時間30秒キープ
セット数左右各3セット
1日の頻度2〜3回
⚠️ バランスが取れない場合は椅子に座って踵を持ち、前傾姿勢でもも前を伸ばす座位版でも可。膝に鋭い痛みが出たら中止。
🟢 成長期のお子さん(オスグッドシュラッター病)へ:大腿四頭筋ストレッチは症状の管理に有効ですが、やりすぎると脛骨粗面への牽引力が増します。痛みが出ない範囲で行い、痛みが強い時期は回数を減らしてください。
ストレッチ ②
ハムストリングストレッチ(仰向けタオル法)
対象筋:ハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)

ハムストリングは膝の裏側を通って脛骨につながる筋群です。この筋肉が硬くなると膝を伸ばす動作で後方から引っ張られる負荷がかかり、変形性膝関節症や膝裏の痛みを悪化させることがあります。立って前屈する方法よりも仰向けのタオル法の方が腰への余分な負担が少なく安全です。

  1. 仰向けに寝て、ストレッチする側の足の裏にタオル(またはベルト)を引っかける。
  2. タオルを両手で持ち、膝をできるだけ伸ばしながらゆっくり足を天井方向に上げる。
  3. もも裏に伸び感が出る角度でキープする。反対の脚は床に伸ばしたまま。
  4. ゆっくり足を下ろして反対側を行う。
保持時間20〜30秒キープ
セット数左右各3セット
1日の頻度2〜3回
⚠️ 膝の裏(膝窩部)に強い痛みや違和感が出る場合は中止。膝を無理に伸ばそうとせず、伸び感が出る最小の角度から始める。腓骨神経(膝外側)への圧迫を避けるため、タオルを膝裏に当てない。
ストレッチ ③
ふくらはぎストレッチ(壁押し・腓腹筋)
対象筋:腓腹筋・ヒラメ筋

ふくらはぎの腓腹筋は膝の後ろ(大腿骨の後ろ)から起始する筋肉で、膝関節をまたいでいます。ふくらはぎの硬さは膝の屈伸動作の可動域を制限し、膝関節に余分な力がかかる原因になります。また足首の硬さと膝の痛みは連動することが多いため、膝の痛みのある方はふくらはぎも合わせて伸ばすことをめざします。

  1. 壁の正面に立ち、両手を肩の高さで壁につく。
  2. 伸ばしたい方の足を後ろに引き(前後に足を開く)、後ろ足のかかとを床につけたまま固定する。
  3. 前膝をゆっくり曲げながら体重を前に移動させ、後ろ脚のふくらはぎに伸び感を出す。
  4. 後ろ足の膝を伸ばしたままにするのが腓腹筋ストレッチ。膝を少し曲げるとヒラメ筋まで伸びる。
  5. 反対側も行う。
保持時間20〜30秒キープ
セット数左右各3セット
1日の頻度2〜3回
⚠️ アキレス腱に強い引っ張り感・ふくらはぎに鋭い痛みが出た場合は中止。後ろ足のかかとが浮かないよう意識する。段差(階段の縁)を使って行う「ヒールドロップ」式は強度が高いため、膝の痛みがある場合は平地で行う。
ストレッチ ④
タオル挟みクアドセッティング(大腿四頭筋 等尺性収縮)
対象筋:大腿四頭筋(特に内側広筋VMO)・膝関節安定化

「クアドセッティング(quad setting)」は膝を動かさずに大腿四頭筋を収縮させる等尺性運動です。膝を曲げる・伸ばす動作がつらい状態でも行えるため、急性期を過ぎた膝の痛みの初期リハビリとして広く用いられています。特に膝のお皿(膝蓋骨)の内側を支える内側広筋(VMO)を意識して収縮させることで、膝蓋骨の外側へのずれを防ぐことをめざします。

  1. 仰向けに寝て、両足をまっすぐ伸ばす。
  2. ストレッチする側の膝の下にタオル(厚さ2〜3cm程度に丸めたもの)を置く。
  3. 太もも前側(大腿四頭筋)に力を入れ、タオルを床に押しつぶすように膝を伸ばす。かかとが床から少し浮く程度でよい。
  4. 「大腿四頭筋が収縮している」感覚を意識しながらキープする。
  5. 力を抜いて戻す。これを繰り返す。
保持時間10秒キープ
繰り返し回数10〜15回/セット
1日の頻度2〜3セット
⚠️ 膝を動かさず、あくまで「力を入れるだけ」の運動。膝の下のタオルが適切な高さでないと効果が出ないため、2〜3cmを目安にする。膝蓋骨まわりに鋭い痛みが出た場合は中止。

やってはいけないこと——中止基準と悪化させる動作

⚠️ ストレッチを中止して受診が必要なサイン

やってはいけない動作・注意点

膝の痛みの原因(変形性膝関節症・半月板損傷・ランナー膝・鵞足炎の違い)や整骨院での施術内容については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。

膝の痛みの原因と整骨院での対応を詳しく見る →
よくあるご質問
膝の痛みのストレッチは毎日やるべきですか?+
腫れ・熱感がない安定した状態であれば毎日続けることが望ましいです。変形性膝関節症や慢性的な膝の痛みに対しては、継続的な運動習慣が症状の安定に寄与すると報告されています。ただし「翌日に腫れが増した」「水がたまる感じがする」「鋭い痛みが出た」場合はその日の分を中止し、整骨院・整形外科を受診してください。
膝に水がたまっている時はストレッチできますか?+
水がたまっている(関節水腫がある)状態でのストレッチは基本的に控えてください。水がたまることは膝関節内に炎症が起きているサインです。この状態でストレッチや運動を行うと炎症が悪化し、さらに水がたまるリスクがあります。まず整形外科で原因(変形性膝関節症・半月板損傷・関節炎など)を診てもらい、炎症が落ち着いてからリハビリを開始することをお勧めします。
ストレッチ後に膝が腫れた場合はどうすればよいですか?+
ストレッチ後に膝の腫れ・熱感・水がたまる感じが出た場合は、翌日以降のストレッチを中止してください。腫れが引くまでアイシング(保冷剤をタオルで包んで15〜20分)と安静を優先します。2〜3日で腫れが引かない場合や、繰り返し腫れる場合は整形外科を受診してください。「ストレッチした翌日に毎回腫れる」状態は強度か種類が合っていないサインです。
変形性膝関節症(軟骨が減っている)でもストレッチしてよいですか?+
変形性膝関節症に対する運動療法・ストレッチは、国際的なコクランレビューでも痛みと機能の改善に効果があると報告されており、推奨される保存療法のひとつです。ただし「今の状態でどのストレッチが適しているか」は変形の程度・炎症の有無・膝の安定性によって異なります。腫れや熱感がある時期はストレッチより安静・アイシングを優先し、落ち着いた時期に始めることが基本です。
膝の痛みには筋トレとストレッチどちらを先にやるべきですか?+
一般的にはストレッチ(柔軟性の確保)→ 筋トレ(強化)の順が安全です。特に大腿四頭筋・ハムストリングのストレッチで柔軟性を確保してから、タオル挟みクアドセッティング等の軽い等尺性収縮を行うと膝への余分な負担を減らせます。ただし腫れや熱感がある急性期は筋トレも控え、落ち着いた後に段階的に始めてください。
【監修者情報】
河野太朗
柔道整復師|施術歴14年以上
長丘はりきゅう整骨院(福岡市城南区)院長
Google口コミ★4.9(208件)
参考文献・出典
1. Fransen M, McConnell S, Harmer AR, Van der Esch M, Simic M, Bennell KL. "Exercise for osteoarthritis of the knee: a Cochrane systematic review." Br J Sports Med. 2015;49(24):1554-1557.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26405113/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Fransen M 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み)
2. Mo L, Yao S, Wang M, Wu P, Zhu Y. "Exercise Therapy for Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Network Meta-analysis." Orthop J Sports Med. 2023;11(6):23259671231180362.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37346776/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Mo L 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み)

最終更新日:2026年8月7日

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