グロインペイン 鍼灸 福岡市城南区|脚の付け根の痛み・蹴ると響く・切り返しで刺す痛みに鍼で何ができるか

デンマークのサブエリート男子サッカー選手695名の調査では、49%が前シーズンに股関節または鼠径部の痛みを経験し、そのうち31%は6週間を超えて続いていました(自己申告の横断調査で前シーズンの記憶に頼るため因果は言えません)。鍼が向かうのは、この長引いた張りの側です。
キックや切り返しのたびに脚の付け根に刺すような痛みが出るが、練習は休みたくない。
休んだら一度おさまったのに、復帰した初日に同じ場所が同じように痛んだ。
このページでは、鍼が届く場所と届かない場所を先に書きます。鍼が向かうのは、内転筋(太ももの内側)・殿筋・体幹の側面といった、外から届く範囲の筋の張りです。
お腹側の奥にある腸腰筋は、手技と運動で扱う範囲です。ここに鍼は使いません。
安静にしていても痛む、夜に痛みで目が覚める、脚に力が入らない、転倒のあとで体重をかけられないという出方の方は、鍼に進む前に整形外科での確認をお願いします。
| 保険の適用 | 脚の付け根の張りへの鍼灸は自費です 料金は料金ページをご覧ください。骨や腱の損傷の診断、画像検査、手術の判断は医科の領域で、当院の施術とは区分が異なります。 |
| 通院の目安 | 急に痛めた直後は約1ヶ月・週2〜3回、シーズンをまたいで続いている場合は3〜6ヶ月・週1〜2回が目安です(状態により変わります) 競技を続けながら通う方が多いため、練習日の前後どちらに入れるかも一緒に決めます。施術時間は初診60〜90分、2回目以降30〜60分です。 |
| 受診の目安 | 安静時や夜間の痛み/発熱を伴う/脚に力が入らない・感覚が鈍い/転倒後に体重をかけられない/鼠径部の膨らみが咳で強くなる → 先に整形外科へ 成長期のお子さんが股関節や膝を痛がり歩き方が変わった場合も、鍼より先に受診をおすすめします。 |
| 統計データ | サブエリート男子サッカー選手695名の調査で、半数近い49%が前シーズンに付け根まわりの痛みを抱え、その31%は6週間を超えて長引いた(Thorborg K ら, Scand J Med Sci Sports. 2017) デンマークの成人男性選手を対象にした自己申告の横断調査のため、日本の選手や女性・学生にそのまま当てはまる数字ではありません。 |
- 練習していない時間も、安静にしていても脚の付け根が痛む
- 夜間に痛みで目が覚める、寝返りで鋭く響く
- 発熱を伴っている
- 脚に力が入らない、感覚が鈍い・しびれる
- 転倒や強い接触のあと、体重をかけて立てない
- 鼠径部に膨らみがあり、咳やいきみで目立つ
- 成長期の子どもが股関節や膝を痛がり、歩き方が変わった
気になる項目が1つでもあれば、鍼を始める前にまず整形外科の診察を受けてください。
脚の付け根の動きと痛む場所の確認は柔道整復師・国家資格の院長 河野太朗が担当します。鍼とお灸は在籍のはり師・きゅう師(国家資格)が担当します。危険サインに当てはまる、または骨や腱の損傷が疑われる場合は、鍼には入らず整形外科へおつなぎします。
次の試合日・練習の頻度・痛みが出る動き(キック/切り返し/ダッシュ)をお知らせいただけると、初回の確認が短い時間で済みます
- 鍼を考えている方の脚の付け根は、こんな痛み方をしていませんか?
- なぜ、鍼だけでは脚の付け根の痛みが終わらないのですか?
- 脚の付け根の痛みに鍼で何ができて、研究では何が分かっているのですか?
- 鍼はどこまで届き、どこには使わないのですか?
- 脚の付け根への鍼灸は、当院ではどこを確かめてから始めますか?
- 競技を続けながら通う方に、当院が備えているものは何ですか?
- 医師・専門家・メディアからの評価
- 内転筋の付け根は、なぜ同じ場所ばかり痛むのですか?
- 痛みが引いたあと、主役は運動に変わるのですか?
- 脚の付け根の痛みで、急いで医療機関に相談すべきなのはどんなときですか?
- 脚の付け根の痛みは整形外科と鍼灸院、どちらが先ですか?
- 脚の付け根への鍼灸は健康保険が使えますか、自費になりますか?
- 脚の付け根への鍼灸は、何回くらい通えばいいのですか?
- 来院までの間、自分でやれることはありますか?
- よくある質問(FAQ)
- 股関節・スポーツ障害に関係する他の症状ページ
鍼を考えている方の脚の付け根は、こんな痛み方をしていませんか?
- ボールを蹴る瞬間、脚の付け根の内側に刺すような痛みが走る
- 切り返しやサイドステップで、太ももの内側の付け根に引っかかる感じがある
- 練習を休むと軽くなるが、復帰した初日に同じ場所が同じように痛む
- 片脚で立ってボールを扱うとき、支えている側の付け根が抜けるように感じる
- 朝、ベッドから起き上がる最初の一歩で付け根がこわばっている
- 腹筋のような動きでも、下腹と付け根の境目に痛みが響く
- ストレッチで内側を伸ばすと痛みが強くなり、続けるか迷っている
- 整形外科で画像を撮り「骨は大丈夫」と言われたが、痛みは残っている
「試合が近いので休みたくない」という段階でも構いません。痛みが出る動き・次の試合日・整形外科で言われた内容をLINEに書いて送ってください。鍼に進んでよい状態か、先に医療機関への確認が必要かをお返しします。
LINEで症状を相談する(無料)なぜ、鍼だけでは脚の付け根の痛みが終わらないのですか?
痛みの出どころである筋の張りをゆるめても、その張りを作っていた蹴る動作・止まる動作そのものは変わらないためです。鍼は張りに届きますが、動作の作り直しは運動でしか進みません。当院は鍼を「動かせる状態に戻すための入口」として位置づけています。
この点は、練習を止めるだけでどうなるかを調べた比較試験がはっきり示しています。アマチュアサッカー選手を対象にした二重盲検の研究では、リハビリを行わず競技participationを止めただけの群は復帰までに240日を要し、そのうち51%が1年以内に痛みを繰り返しました(Schöberl M ら, Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2017)。
一方で集中的なリハビリを行った群では、44名のうち42名が治療開始から4ヶ月以内に復帰し、1年以内の再発はありませんでした。つまり待つことと動作を作り直すことは、結果が別だったということです。
この研究で行われたのはリハビリであり、鍼ではありません。当院が鍼を使う理由は、痛みで動かせない期間が長いと、この作り直しそのものが始められないからです。
もう一つ知っておいていただきたいことがあります。この症状は分類や治療方針そのものが定まっていません。
叙述的レビューでは、用語・解剖・病態生理・治療のいずれについても合意が得られていないと整理されています(Dinis J ら, Cureus. 2024)。だからこそ、断定的な説明をする施術所には慎重になっていただきたいと考えています。
| 繰り返す理由 | 体で起きていること | 鍼にできること |
|---|---|---|
| 張りが戻る | 内転筋や殿筋が、蹴る・止まるたびに繰り返し引っ張られる | 張っている筋そのものは鍼の届く範囲です。動作のクセは変わりません |
| 動作が変わらない | 片脚で支える力や体幹と股関節の連動が戻らないまま復帰している | 鍼で痛みが軽い時間を作り、その間に運動へ進みます。運動の代わりにはなりません |
| 奥の筋の関与 | お腹側の深い位置にも股関節を曲げる筋がある | この深さは手技と運動で扱う範囲です。鍼は使いません |
| 腱や骨の損傷 | 腱の付着部や骨そのものが傷んでいる場合がある | 鍼の対象外です。画像検査と診断は整形外科の領域です |
脚の付け根の痛みに鍼で何ができて、研究では何が分かっているのですか?
正直に申し上げると、この症状に鍼だけを用いて検証した無作為化比較試験は見つかっていません。近い研究は、鍼を用いた手技(ドライニードリング)をサッカー選手に行ったもの、内転筋を痛めた2名の症例報告、そして別の部位(殿部の梨状筋)を対象にした試験です。それぞれ何を測ったのかを分けてお伝えします。
まず、どれくらいの選手が抱えているかです。デンマークのサブエリート男子サッカー(1〜4部・40チーム)の成人選手695名に、新シーズン開始時(2011年7〜9月)の質問紙で前シーズンを振り返ってもらった調査があります。痛みを抱えていたのは49%(95%CI 45〜52%)で、そのうち31%(95%CI 26〜36%)は6週間を超えて続いていました。
前シーズンに痛みが長く続いた選手は、新シーズン開始時のHAGOS(股関節・鼠径部の機能スコア)が最も低い値でした(p<0.001)。自己申告で前シーズンを思い出す形式の横断調査であり、因果を示すものではありません(Thorborg K ら, Scand J Med Sci Sports. 2017)。
なおこの調査が数えたのは「股関節や鼠径部が痛かったかどうか」であって、診断名としてのグロインペイン症候群の割合ではありません。
次に、鍼を用いた手技の数字です。ドイツのブンデスリーガ所属クラブのエリート育成年代のサッカー選手30名を対象にした無作為化比較試験では、週1回×4週のドライニードリングと水圧マッサージを組み合わせた群、プラセボのレーザーと水圧マッサージの群、無介入の群を比べています。
治療終了から4週後の時点で、股関節を曲げる可動域はドライニードリング群が10.3°±3.5°広がり、プラセボ群の3.8°±3.8°(p=0.01)、無介入群の1.4°±2.9°(p=0.0002)より大きい変化でした。膝を伸ばす筋の持久力も治療終了時(p=0.039)と4週後(p=0.008)に開始前より高い値でした。
ただしこの研究の参加者は痛みを訴えている患者ではなく、育成年代の男子選手です。鍼を用いた手技は水圧マッサージと組み合わされているため、鍼単独の効果とは判定できません。
3群あわせて30名という規模で、1クラブのみの研究です(Haser C ら, Med Sci Sports Exerc. 2017)。可動域が広がったことと、痛みが軽くなることは別の話です。
内転筋を痛めた選手への報告です。内転筋の損傷と診断されたインドの国内レベルの若手サッカー選手2名に、ドライニードリングと内転筋のエキセントリック(伸ばしながら力を出す)強化を10〜12週間行い、4ヶ月追跡した症例報告があります。開始時の痛みはVASで10点満点中8、下肢機能スケールは80点満点中58点と69点でした。
報告では痛みが軽くなり症状が和らいだとされていますが、著者自身が「この症例報告は治療効果を一般化するものではなく、無作為化比較試験が必要である」と明記しています。2名のみの報告です(Kaur S ら, J Bodyw Mov Ther. 2023)。
別の部位の試験も参考として挙げます。中国の1施設で梨状筋症候群の患者60名を、トリガーポイントへの鍼の群30名とステロイド注射の群30名に分けた無作為化比較試験では、週1回×2回の介入後、2ヶ月後と3ヶ月後の痛みの点数(p<0.01)と腰の障害指数(p<0.05)が鍼の群でより低く、股関節の内旋可動域も大きい値でした(p<0.01)。重い有害事象はありませんでした(Liu LX ら, Zhen Ci Yan Jiu. 2024)。
これは殿部にある梨状筋の症候群で、脚の付け根の痛みそのものではありません。単一施設・60名の研究で、比較相手はステロイド注射であり偽鍼ではありません。「お尻の深い筋への鍼が痛みと可動域に関わりうる」という範囲の参考として挙げています。
当院の立場です。並べた数字のうち、復帰までの日数と再発率を動かした報告はリハビリの側にあり、鍼の側には可動域と2名の症例報告しかありません。鍼だけを取り出して検証した試験は、この症状では見つかっていません。
ですから当院は、鍼を痛みを消す手段としてではなく、動作を作り直す運動に進めるための入口として位置づけています。
| 研究名 | 対象人数 | 結果(限界含む) | 出典 |
|---|---|---|---|
| Thorborg K ら 2017(Scand J Med Sci Sports・横断コホート) | サブエリート成人男子サッカー選手695名(デンマーク・40チーム) | 前シーズンの痛みあり49%、うち31%が6週間超。痛みが長引いた選手はHAGOSが最低値(p<0.001)。限界:自己申告・前シーズンの思い出しに依存・横断研究で因果は言えない・デンマークの成人男性のみ。 | [1] |
| Haser C ら 2017(Med Sci Sports Exerc・無作為化比較試験) | エリート育成年代の男子サッカー選手30名(3群・ドイツ1クラブ) | 4週後の股関節屈曲可動域は鍼を用いた手技の群が+10.3°、プラセボ群+3.8°(p=0.01)・無介入群+1.4°(p=0.0002)。限界:痛みのある患者ではなく育成年代の選手・水圧マッサージと併用のため鍼単独ではない・3群で計30名・1クラブ。 | [2] |
| Kaur S ら 2023(J Bodyw Mov Ther・症例報告) | 内転筋損傷の国内レベル若手サッカー選手2名(インド) | ドライニードリング+エキセントリック強化を10〜12週、4ヶ月追跡。開始時VAS 8/10・LEFS 58と69/80。限界:2名のみ。著者自身が一般化できないと明記し無作為化比較試験の必要性を述べている。 | [3] |
| Schöberl M ら 2017(Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc・二重盲検の無作為化比較試験) | アマチュアサッカー選手143名を1年間解析(うち44名を無作為割付) | リハビリを行わず競技を止めただけの対照群51名は復帰まで240日(p<0.001)、26名(51%)が1年以内に再発。リハビリ群は44名中42名が4ヶ月以内に復帰し再発なし。限界:介入はリハビリであり鍼ではない・アマチュア男子の骨盤前方の過負荷例に限る。 | [4] |
| Liu LX ら 2024(Zhen Ci Yan Jiu・無作為化比較試験) | 梨状筋症候群の患者60名(鍼30名・ステロイド注射30名・中国1施設) | 2・3ヶ月後の痛みの点数(p<0.01)と障害指数(p<0.05)が鍼群でより低く、股関節内旋可動域も大(p<0.01)。重い有害事象なし。限界:脚の付け根の痛みではなく殿部の梨状筋症候群・比較相手は注射で偽鍼ではない・60名・1施設。 | [5] |
| Dinis J ら 2024(Cureus・叙述的レビュー) | 対象人数の記載なし(文献レビュー) | 内転筋に関連する鼠径部痛について呼び名から治療方針まで定説がないと整理。能動的なリハビリと分節間のコントロールに着目したプログラムの重要性を指摘。限界:叙述的レビューで新規データではなく、対象人数の記載もない。 | [6] |
鍼はどこまで届き、どこには使わないのですか?
当院が鍼を用いるのは、体の表面から確かめられる範囲の筋に限っています。脚の付け根の奥、お腹側の深い位置にある筋は鍼の対象にしていません。ここは手技と運動で扱います。
脚の付け根には、外から触れて確かめられる筋と、お腹の奥にあって外から確かめられない筋の両方が関わります。前者には内転筋群、殿部の筋、体幹の側面の筋が含まれ、ここは鍼を用いる範囲です。
後者は股関節を曲げる深い筋で、背骨の前側から太ももの骨につながっています。この深さを鍼で確実にとらえることはできないと当院は考えています。
そのため、ここには鍼を使いません。手技と運動で扱う範囲としています。
骨盤の前側で左右の骨が合わさる部分そのものにも鍼は用いません。腱の付着部や骨が傷んでいる可能性がある場所は、画像で確かめる整形外科の領域です。
| 場所 | 当院の扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 内転筋群(太ももの内側) | 鍼を用いる範囲 | この症状で最も張りが出る場所で、表面から確かめられます |
| 殿部の筋 | 鍼を用いる範囲 | 片脚で支える力に関わり、付け根の痛みと連動して張ります |
| 体幹の側面(腹斜筋・腰方形筋) | 鍼を用いる範囲 | 蹴る動作で骨盤を安定させる側で、こちらも表面から確かめられます |
| お腹側の深い位置で股関節を曲げる筋 | 手技と運動で扱う範囲 | 外から確実にとらえられる深さではないと判断しています |
| 骨盤前側の骨の合わさる部分・腱の付着部 | 施術の対象外 | 骨や腱の状態は画像で確かめるもので、整形外科の領域です |
「内側が痛い」と来られる方でも、触って確かめると痛みの出どころが内転筋ではなく殿部側だったという方が少なくありません。痛む場所と原因の場所がずれているのは、この付け根では珍しくないと感じています。
※当院での施術を通じた実感であり、統計として集計したものではありません。
脚の付け根への鍼灸は、当院ではどこを確かめてから始めますか?
最初に確かめるのは危険サインの有無と、整形外科で言われた内容です。そのうえで、どの動きで痛みが出るのかを実際に動いて特定してから、鍼を使う場所を決めます。痛む場所にそのまま鍼を打つという進め方はしていません。

保険の可否や相談だけのご来院についても遠慮なくお尋ねください。脚の付け根の張りへの鍼灸は自費で、料金は料金ページに掲載しています。
競技を続けながら通う方に、当院が備えているものは何ですか?
練習や試合の予定を崩さずに通える受付時間と通いやすさです。日曜・祝日も20時まで受付しているため、週末に試合がある方も練習後に来院できます。
- 国家資格者のみが担当します:動きの確認は柔道整復師、鍼とお灸ははり師・きゅう師が担当します。
- 痛む場所に打つのではなく、動いて確かめてから決めます:どの動作で出るのかを再現したうえで場所を選びます。
- 強く押したり鳴らしたりする施術はしません:競技を続けながら通う方に、施術のあとで動けなくなる負担はかけません。
- 日曜・祝日も20時まで受付:試合や練習のあとに来られます。水曜は定休です。
- 西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分・駐車場4台:部活や仕事の合間にも寄りやすい場所です。
- LINEで事前に相談できます:次の試合日と痛む動きを送っていただければ、来院前にお返しします。
医師・専門家・メディアからの評価
当院の施術は、医師・アスリート・同業の先生からも評価をいただいています。
詳しい推薦の内容とメディア掲載の実績は掲載実績ページに、院長の経歴は院長紹介ページにまとめています。
内転筋の付け根は、なぜ同じ場所ばかり痛むのですか?
内転筋が骨盤につながる部分は、蹴る・止まる・切り返すのすべてで引っ張られる場所だからです。動作を変えないまま練習量を戻すと、同じ場所に同じ向きの力がかかり続けます。
ボールを蹴る動作では、脚を振り出す力と骨盤を支える力が同時に必要になります。このとき内転筋は、脚を内側に引く役目と骨盤を安定させる役目を同時に担っています。
切り返しやサイドステップでは、同じ筋が急に伸ばされながら力を出すことを求められます。伸ばされながら力を出す局面は、筋や腱にとって負担が集中しやすい場面です。
内転筋に関連する鼠径部の痛みを整理した叙述的レビューでも、自分で動かすリハビリと、体の各部のつながりを整えるプログラムが大切だと指摘されています(Dinis J ら, Cureus. 2024)。押してゆるめるだけでは終わらないのは、この動作側の課題が残るためです。
ただし同じレビューは、この症状の用語や病態生理についてまだ合意がないとも述べています。ですから当院も「これが原因です」と一つに決めつけず、実際に動いて確かめる手順をとっています。
痛みが引いたあと、主役は運動に変わるのですか?
はい。再発を減らす側の作業は運動にあります。二重盲検の比較試験で、練習を止めただけの群は復帰まで240日を要し51%が1年以内に痛みを繰り返した一方、集中的なリハビリを行った群は44名中42名が4ヶ月以内に復帰し再発がありませんでした。
この研究で比較されたのは、集中的なリハビリを行う群(一部に体外衝撃波を併用)と、標準的なリハビリを行わず競技を止めた群でした。体外衝撃波は当院で行うものではありません。ここで注目していただきたいのは、待つだけの群の結果です(Schöberl M ら, Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2017)。
対照群51名は復帰までに240日かかり、そのうち26名(51%)が1年以内に痛みを繰り返しました。休むことは痛みを一時的に減らしますが、動作が戻らないままでは復帰後に同じことが起きたということです。
なおこの研究はアマチュア男子選手の骨盤前方の過負荷例を対象にしたもので、すべての脚の付け根の痛みに当てはまる数字ではありません。当院がこの数字を挙げるのは、鍼だけで終わらせない理由をお伝えするためです。
脚の付け根の痛みで、急いで医療機関に相談すべきなのはどんなときですか?
運動と関係なく痛むとき、力が入らないとき、骨や内臓側の問題が疑われるときです。この場合は鍼より先に整形外科の診察を受けてください。
- 練習していない時間や安静時にも痛む、夜間に痛みで目が覚める
- 発熱を伴っている
- 脚に力が入らない、感覚が鈍い、しびれる
- 転倒や強い接触のあと、体重をかけて立てない
- 鼠径部に膨らみがあり、咳やいきみで目立つ
- 成長期の子どもが股関節や膝を痛がり、歩き方が変わった
とくに成長期のお子さんの場合、太ももの骨の上端に関わる問題が隠れていることがあります。膝の痛みとして出ることもあるため、歩き方の変化があるときは鍼灸より先に受診をおすすめします。
脚の付け根の痛みは整形外科と鍼灸院、どちらが先ですか?
まだ画像を撮っていない方、上の危険サインに当てはまる方は整形外科が先です。すでに画像で骨や腱の大きな問題を確認済みで、張りと痛みが残っている段階であれば、当院の鍼灸もご相談いただけます。
整形外科では、レントゲンやMRIで骨・腱・関節の状態を確かめることができます。骨の傷み、腱の付着部の損傷、股関節の形に関わる問題は、画像でなければ分かりません。
当院が扱うのは、そうした確認を経たうえで残っている筋の張りと動作の課題です。整形外科の受診をやめていただくことを前提にはしていません。
また、この症状は分類そのものに定説がない領域です。だからこそ、画像で除外できるものは先に除外しておくほうが、その後の進め方が決めやすくなります。
脚の付け根への鍼灸は健康保険が使えますか、自費になりますか?
当院の脚の付け根の張りに対する鍼灸は自費です。料金は料金ページに掲載しています。
画像で状態を確かめることや、その結果にもとづく治療方針の決定は医科で行われるもので、当院の施術とは区分が異なります。どこまでが当院の範囲で、どこからが医療機関の範囲かは、初回に線を引いたうえでご説明します。
初回にかかる時間と費用の見通しは、施術に入る前にお伝えします。相談だけで帰られても構いません。
脚の付け根への鍼灸は、何回くらい通えばいいのですか?
急に痛めた直後であれば約1ヶ月・週2〜3回、シーズンをまたいで続いている場合は3〜6ヶ月・週1〜2回が当院での目安です(状態により変わります)。
回数に幅があるのは、痛みが軽くなるまでの期間と、動作を作り直す期間が別だからです。前者は比較的早く変わることがありますが、後者には時間がかかります。
競技を続けながら通う方の場合、練習の量と内容によっても進み方が変わります。次の試合日を伺いながら、施術の間隔を一緒に決めていきます。
施術時間は初診が60〜90分、2回目以降が30〜60分です。初診が長いのは、危険サインの確認と動作の特定に時間を使うためです。
来院までの間、自分でやれることはありますか?
痛みが出る動きを記録しておくことと、痛みを我慢して伸ばさないことです。強く伸ばして確かめる行為は、この時期にはおすすめしません。
- 痛む動きを記録する:蹴るとき・切り返すとき・起き上がるときのどれで出るか、痛む場所が内側か下腹寄りかをメモします。初回の見立ての材料になります。
- 痛みが出ない範囲で動かす:完全に動かさないままにするより、痛みの出ない範囲で歩く程度の動きは残しておきます。
痛みを我慢して内側を強く伸ばす、痛む場所を強く押してほぐす、痛いまま練習量を戻すといった対処は、この時期はおすすめしません。当院の鍼とお灸の流れ、扱っている症状の全体は鍼灸ページにまとめています。
よくある質問(FAQ)
脚の付け根の痛みを、
離脱と復帰の繰り返しで終わらせないために
樋井川・長尾・別府といった城南区内のほか、南区・早良区からもお越しいただいています。まず伺うのは痛みが出る動きと整形外科での確認内容なので、鍼が初めての方も身構えずにどうぞ。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)
- Thorborg K, Rathleff MS, Petersen P, Branci S, Hölmich P. "Prevalence and severity of hip and groin pain in sub-elite male football: a cross-sectional cohort study of 695 players." Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 2017;27(1):107-114.(デンマークの1〜4部・40チームに所属する成人男子サッカー選手695名が、新シーズン開始時〈2011年7〜9月〉に前シーズンの股関節・鼠径部痛について自己記入式の質問紙とHAGOSに回答。49%〈95%CI 45〜52%〉が前シーズンに股関節または鼠径部の痛みを報告し、そのうち31%〈95%CI 26〜36%〉が6週間を超えて継続。前シーズンの痛みの持続期間が最も長い選手群は新シーズン開始時のHAGOSが最も低値〈P<0.001〉。自己申告・前シーズンの想起に依存する横断研究であり因果関係は示せない。対象はデンマークの成人男性サブエリート選手)|PMID: 26643978|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26643978/
- Haser C, Stöggl T, Kriner M, et al. "Effect of Dry Needling on Thigh Muscle Strength and Hip Flexion in Elite Soccer Players." Medicine and Science in Sports and Exercise, 2017;49(2):378-383.(ドイツのブンデスリーガ所属クラブのエリート育成年代男子サッカー選手30名を対象にした無作為化比較試験。週1回×4週のドライニードリング+水圧マッサージ群、プラセボレーザー+水圧マッサージ群、無介入群を比較。治療終了4週後の股関節屈曲可動域はドライニードリング群10.3°±3.5°に対しプラセボ群3.8°±3.8°〈P=0.01〉・無介入群1.4°±2.9°〈P=0.0002〉。膝関節伸展筋の筋持久力は治療終了時〈P=0.039〉・4週後〈P=0.008〉に開始前より高値、最大筋力も無介入群との比較で4週後に有意〈P=0.049〉。対象は疼痛患者ではなく育成年代の男子選手で、鍼を用いた手技は水圧マッサージと併用されているため鍼単独の効果とは判定できない。3群で計30名・単一クラブ)|PMID: 27685009|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27685009/
- Kaur S, Maurya UK, Shenoy S. "Recovery of two elite footballers from adductor strain with dry needling and eccentric strengthening: Two case studies." Journal of Bodywork and Movement Therapies, 2023;35:332-336.(内転筋の損傷と臨床診断された国内レベルの若手男子サッカー選手2名の症例報告。太ももの内側に強い痛みがあり、キックや機能的動作で増悪〈開始時VAS 8/10、LEFS 58/80および69/80〉。ドライニードリングと内転筋のエキセントリック強化・体幹安定化を10〜12週間実施し4ヶ月追跡。痛みの軽減と症状の緩和が報告されたが、著者自身が「本症例報告は治療効果を一般化するものではなく、無作為化比較試験が必要」と明記。2名のみの報告)|PMID: 37330790|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37330790/
- Schöberl M, Prantl L, Loose O, et al. "Non-surgical treatment of pubic overload and groin pain in amateur football players: a prospective double-blinded randomised controlled study." Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy, 2017;25(6):1958-1966.(鼠径部痛と骨盤前方の過負荷〈無菌性骨炎を含む〉の画像所見・臨床症状を有するアマチュアサッカー選手143名を1年間追跡した前向き二重盲検比較研究。うち44名を集中的な理学療法+体外衝撃波群〈26名〉と体外衝撃波なし群〈18名〉に無作為割付。対照群は標準的なリハビリを行わずスポーツ活動を中止のみ。両介入群の44名中42名が治療開始から4ヶ月以内に復帰し1年以内の再発なし。対照群51名は復帰までに240日を要し〈P<0.001〉、うち26名(51%)が鼠径部痛を再発。体外衝撃波群はVASでの疼痛軽減が早く〈P<0.001〉復帰も有意に早い〈P=0.048〉が、追跡MRIでは差を認めず。エビデンスレベルI。介入は理学療法および体外衝撃波であり鍼ではない。対象はアマチュア男子選手の骨盤前方の過負荷例)|PMID: 28093636|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28093636/
- Liu LX, Shen MM, Wang QG, Shen W, Yuan Y. "[Clinical study of piriformis syndrome treated with trigger-point acupuncture]." Zhen Ci Yan Jiu(Acupuncture Research), 2024;49(9):957-963.(中国1施設で梨状筋症候群の患者60名をトリガーポイント鍼群30名とグルココルチコイド注射群30名に無作為割付。週1回×2回の介入。治療前と1週・1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月後にNRS・ODI・股関節他動可動域を測定。両群でNRS・ODIが低下しPROMが増加〈P<0.05〉。治療2ヶ月後・3ヶ月後の時点で鍼群のNRS〈P<0.01〉とODI〈P<0.05〉が対照群より低値、股関節内旋可動域は鍼群でより増加〈P<0.01〉。3ヶ月後のSF-36の身体機能・体の痛み・活力が鍼群で高値〈P<0.05〉、鎮痛薬使用者数も鍼群で少数〈P<0.05〉。重篤な有害事象なし。対象は殿部の梨状筋症候群であり鼠径部痛ではない。比較相手はステロイド注射で偽鍼対照ではない。60名・単一施設)|PMID: 39401833|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39401833/
- Dinis J, Oliveira JR, Choupina B, Seabra Marques P, Sá D, Sarmento A. "Athletes With Adductor-Related Groin Pain: A Narrative Review." Cureus, 2024;16(9):e68625.(アスリートの内転筋関連鼠径部痛を対象とした叙述的レビュー。有病率と影響が大きいにもかかわらず用語・解剖・病態生理・治療のいずれについても合意が得られていないと指摘。Doha合意分類、長内転筋近位付着部の複雑な構造とpyramidalis-anterior pubic ligament-長内転筋複合体との関係、腱病変の発生に関するstress-shielding説と圧縮説、能動的リハビリテーションと分節間コントロールに着目したプログラムの重要性、腱付着部への注射や腱切離術の位置づけを整理。叙述的レビューであり新規データではなく、対象人数の記載もない)|PMID: 39371738|https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39371738/
※これらは施術効果を保証するものではありません。効果には個人差があります。骨や腱の損傷の診断、画像検査、手術の判断は整形外科で行われるべきものです。

施術歴14年以上|鍼に関する記述は在籍のはり師・きゅう師(国家資格)の監修協力|画像による確認と治療方針の決定は医科の領域です|院長の経歴・想いはこちら ›
最終更新日:2026年9月26日