眼精疲労 ツボ|目の疲れ・かすみに使う6つの経穴と押す強さ・秒数
【結論】パソコン・スマホによる目の疲れやかすみは、目そのものよりも目のまわりとこめかみ・後頭部の血流とこりが関わっていることが多いです。押す場所は目のすぐそば4つ+こめかみ+後頭部の計6つ。【自分でできること】目のまわりの4つは軽い力で、攅竹は3秒押して2秒はなす、睛明・四白・糸竹空は5秒前後。こめかみの太陽と後頭部の風池は少し強めに10秒。合わせて2〜3分、1日2〜4回が目安です。【受診の目安】急な視力低下・視野の一部が欠ける・目の痛み・物がゆがんで見える場合は、ツボで様子を見ずに眼科を受診してください。
・急な視力低下(片目だけ、両目ともに関わらず)
・視野の一部が欠ける・見えない場所がある
・目そのものにズキズキした強い痛みがある
・物がゆがんで見える、まっすぐな線が波打って見える
いずれも眼科的な緊急性が疑われるサインです。ツボ押しや温める・冷やすといったセルフケアで様子を見ず、できるだけ早く眼科を受診してください。
なぜ目そのものではなく周囲を押すのか
目の疲れ・かすみを感じると、多くの方はまぶたの上から眼球そのものを揉んでしまいますが、眼球は強い刺激を与えるべき場所ではありません。眼精疲労の背景には、目のまわりの筋肉のこわばりと、こめかみ・後頭部から目に向かう血流の滞りが関わっていることが多く、鍼灸ではこれらの部位にある経穴を用いてきました。以下の6つは、目のまわりを軽く押す4つと、こめかみ・後頭部を少し強めに押す2つに分かれます。
目のまわりを軽く押す4つの経穴
目のまわりは皮膚が薄く、骨のきわに沿って軽い力で押すのが基本です。眼球そのものは押さず、骨のふちを狙ってください。コンタクトレンズは外してから行います。
① 攅竹(さんちく・BL2)|デスクで、文字がぼやけてきたら
位置:眉毛の内側の端(眉頭)、骨のふちにあるくぼみ。左右の眉頭にあります。
押し方:人差し指の腹で骨のきわを、痛くない程度の軽い力で3秒押して2秒はなすを左右5回。1日3〜4回、文字がにじんで見えると感じたときに行ってください。
② 睛明(せいめい・BL1)|目が乾いて重いとき(作業の合間に)
位置:目頭の内側、鼻筋との間にある骨のきわのくぼみ。
押し方:指の腹(爪ではなく)を軽く当て、触れる程度の力で5秒押して3秒はなすを左右3回。1日2〜3回。コンタクトレンズは外してから行い、眼球は圧迫しないでください。
③ 四白(しはく・ST2)|夕方、目がかすんでくるとき
位置:瞳をまっすぐ下におろした線上、頬骨の下にあるくぼみ(目の下から指1本分下)。
押し方:人差し指の腹で軽い力、5秒押して3秒はなすを左右5回。1日2〜3回。頬骨に沿って軽くさするだけでも構いません。
④ 糸竹空(しちくくう・TE23)|細かい作業を続けたあとに
位置:眉毛の外側の端(眉尻)にあるくぼみ。
押し方:薬指か中指の腹で軽い力、5秒押して3秒はなすを左右3回。1日2〜3回。攅竹(眉頭)から糸竹空(眉尻)まで、眉のラインをなぞるように押していくとまとめて行えます。
こめかみと後頭部を押す2つの経穴
ここからは目のまわりよりも少し強めに、「痛気持ちいい」と感じる強さで押します。どちらも目そのものからは離れた場所です。
⑤ 太陽(たいよう・EX-HN5)|こめかみから目の奥がズキズキするとき
位置:眉尻と目尻を結んだ線の中央から、指幅1本分外側にあるこめかみのくぼみ。
押し方:中指の腹で「痛気持ちいい」強さの円を描くように10秒×3回。1日3回。片頭痛の発作中は刺激で痛みが強まることがあるため、発作が落ち着いてから軽い力で行ってください。
⑥ 風池(ふうち・GB20)|スマホを見下ろす姿勢が続いたあとに
位置:後頭部の髪の生え際、うなじの2本の太い筋肉の外側にあるくぼみ。
押し方:両手の親指を左右のくぼみに当て、あごを軽く引きながら「痛気持ちいい」強さで10秒×3回。1日2〜3回。首・肩のこりから来る目の疲れには、この経穴を最後に加えると楽になりやすいです。
6つの経穴 一覧表
| 経穴 | 位置 | 押す強さ・秒数 | 回数 | 1日の頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 攅竹(BL2) | 眉頭の骨のきわ | 軽い力・3秒押す→2秒はなす | 左右5回 | 3〜4回 |
| 睛明(BL1) | 目頭の骨のきわ | 触れる程度・5秒押す→3秒はなす | 左右3回 | 2〜3回 |
| 四白(ST2) | 頬骨の下(目の下から指1本分下) | 軽い力・5秒押す→3秒はなす | 左右5回 | 2〜3回 |
| 糸竹空(TE23) | 眉尻のくぼみ | 軽い力・5秒押す→3秒はなす | 左右3回 | 2〜3回 |
| 太陽(EX-HN5) | 眉尻と目尻の中央から外側のこめかみ | 痛気持ちいい強さ・10秒×3回 | 左右3回 | 3回 |
| 風池(GB20) | 後頭部の生え際・うなじの筋肉の外側 | 痛気持ちいい強さ・10秒×3回 | 左右3回 | 2〜3回 |
※位置はWHO西太平洋地域の標準経穴部位に準じます。「指◯本ぶん」は自分の指幅で測定。
やってはいけないこと・中止基準
- コンタクトレンズをつけたまま目のすぐそば(睛明・四白)を強く押さない。レンズがずれたり、指先の汚れがレンズや目に触れる原因になります。
- 目の周りを爪で押さない・強くこすらない。皮膚が薄く傷つきやすい場所です。
- 睛明・四白は眼球そのものを圧迫しない。あくまで骨のきわを狙ってください。
- まぶたに傷・腫れ・炎症(ものもらいなど)がある間は行わない。治まってから再開してください。
- 片頭痛の発作中に太陽を強く押さない。刺激で痛みが増すことがあります。
- メイクをしたまま強くこすらない。結膜炎など目のトラブルの原因になることがあります。
【中止基準】次のいずれかが起きたら、その場でやめてください。
・押している最中に痛みが強まった → 中止
・押したあとにかすみがひどくなった、しびれが出た → 中止
・目の充血や腫れが強くなった → 中止して眼科へ
・2〜3週間続けても変化がない → セルフケアにこだわらず、ドライアイや度数の変化がないか眼科で確認してください
当院で目の疲れのご相談が増える場面
🔑 当院に肩こり・首こりで来られる方に眼精疲労の有無を伺うと、パソコンやスマートフォンを長時間見たあとに「目の奥が重い」「かすむ」と話される方が多く、そうした方の多くは同時に後頭部から首にかけての張りも訴えられる、というのが現場での実感です。目の疲れだけを取り出して相談に来られる方より、肩こり・首こり・頭痛の相談の中で目の疲れが見つかるケースの方が多い印象です。首・後頭部(風池)を経穴に加えているのはこのためです。
研究で報告されていること
「眼精疲労にツボ」というテーマでは、鍼を使った臨床研究はいくつかありますが、今回のように指で押す「指圧」だけを対象にした研究は多くありません。ここでは、指圧に近い形でパソコン作業による目の疲れを扱った研究と、経穴を用いた眼の体操を子どもに対して行った研究を紹介します。
パソコン作業(VDT)による眼精疲労がある102名(204眼)を、パソコンの使用量が少ない群・多い群に分け、攅竹(BL2)・睛明(BL1)・糸竹空(TE23)・四白(ST2)・太陽(EX-HN5)の5つの経穴を1か所5分、1日1回、1か月間マッサージしました。使用量が少ない群の症状改善指数は52.31±16.65%、多い群は28.93±13.35%で、少ない群のほうが有意に改善しており、涙の質(涙液層破壊時間・シルマーテスト)も両群で改善しました。本記事の目のまわり4穴+太陽は、この研究とほぼ同じ組み合わせです。ただし対照群(何もしない群)との比較ではなく、パソコン使用量による効果の違いを比較した研究である点には注意してください。
Xu Y, Gu GX, Yang XS, Pan CY, Hou WL, Zhao W, Xing Q. 中国鍼灸(Zhongguo Zhen Jiu). 2012;32(4):351-3. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22734390/
7〜11歳の学童149名に、経穴の位置・押す力加減・リズムを含む「眼の体操」を1か月間指導した研究です。体操の質が高い(正しい位置・力加減で行えている)子どもほど視覚疲労が軽くなったと報告されています(B=-2.00〜-3.49、いずれもP<0.05)。ただし対象は近視リスクのある中国の学童で、大人のデスクワークによる眼精疲労とは背景が異なります。
Chen X, Zuo S, Zhang C, Sun B, Zhang M, Jiang D, Chen Y. Risk Manag Healthc Policy. 2024;17:1787-1801. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39007108/
現在地は「パソコン作業による目の疲れに、目のまわりの経穴の指圧が用いられ、一定の改善が報告されている一方、研究の規模は大きくなく、質の高い比較試験はまだ少ない」あたりです。肩こり・首こりが目の疲れと一緒に出ている方は、鍼灸によるアプローチも選択肢のひとつです。眼精疲労と鍼灸についてはこちらもご覧ください。
よくあるご質問
目の疲れに、肩こり・首こり・頭痛も重なっている方へ
「毎日パソコンとスマホで目がかすむ」「こめかみから頭が重い」——ツボを試しても変わらない場合は、一度ご相談ください。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Xu Y, Gu GX, Yang XS, Pan CY, Hou WL, Zhao W, Xing Q. "Efficacy evaluation of acupoints massage on asthenopia of video display terminal under different exposure dose." Zhongguo Zhen Jiu (Chinese Acupuncture & Moxibustion). 2012;32(4):351-3. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22734390/
- Chen X, Zuo S, Zhang C, Sun B, Zhang M, Jiang D, Chen Y. "Interventional Study on the Effectiveness of Eye Exercises Based on Composite Feedback Model in School-Age Children." Risk Manag Healthc Policy. 2024;17:1787-1801. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39007108/
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月12日