仕事中(業務災害)や通勤中(通勤災害)のケガには、健康保険ではなく労災保険を使います(両方の同時使用は不可)。整骨院(接骨院)での柔道整復も労災保険の給付対象で、窓口負担は原則0円です。柔道整復の場合、業務災害は様式第7号(3)、通勤災害は様式第16号の5(3)が必要な書類です。会社が手続きに協力しない場合は所轄の労働基準監督署に直接相談できます(労災隠しは犯罪です)。
仕事中・通勤中のケガ(業務災害・通勤災害)について、「書類の書き方がわからない」「会社への報告はどうすればいい」という方もまずご相談ください。
⚠ 注意|健康保険の誤使用・労災隠しについて
- 健康保険を使ってしまった場合——仕事中・通勤中のケガに健康保険は適用されません(健康保険法第55条)。誤って健康保険で受診した場合は、受診した医療機関に「労働災害である」と伝え、労災への切り替えが可能か確認してください。切り替えができれば、自己負担した費用は返金される仕組みです。切り替えが難しいケースは所轄の労働基準監督署に相談してください。
- 会社が労災申請を拒む「労災隠し」は違法——会社が「労災を使わないでほしい」と言ったり、申請書類に協力しなかったりすること(労災隠し)は、労働安全衛生法違反(50万円以下の罰金)です(厚生労働省「労災かくしは犯罪です」)。労働者は会社の協力がなくても所轄の労働基準監督署に直接相談・申請できます。
業務災害と通勤災害の違い
どちらも労災保険の対象ですが、「ケガが起きた場所・状況」で区分が異なり、使用する書類の様式番号が変わります。
| 区分 | 業務災害 | 通勤災害 |
|---|---|---|
| 定義 | 事業主の支配下にある状態で、業務が原因で生じたケガ・病気 | 合理的な経路・方法での通勤中に生じたケガ |
| 具体例 | 重い荷物を持ち上げて腰を痛めた、工場で転倒した、など | 駅の階段で転倒、自転車通勤中に転落、など |
| 整骨院の様式 | 様式第7号(3) (療養補償等給付 業務災害用) |
様式第16号の5(3) (療養給付 通勤災害用) |
| 窓口負担 | 原則0円(受任者払い対応施術所の場合) | 原則200円の一部負担(初回のみ) |
通勤途中に私用(買い物・食事など)で寄り道した後のケガは、通勤災害に該当しない場合があります(「逸脱・中断」)。ただし、日常生活上必要な行為(日用品の購入など)は例外とされています。判断が難しい場合は労働基準監督署にご相談ください。
ケガ〜書類提出まで|時系列チェックリスト
労災手続きは「順番」と「どこに書類を出すか」が大事です。焦らず順を追って進めてください。
- 危険な状態であればまず救急(119番)を呼ぶ
- ケガをした状況・日時・場所・目撃者を記録・写真で残す
- 自分でできる場合は整形外科・救急病院を受診し診断書を依頼する
- 健康保険証を使わないよう医療機関に伝える(「労働災害です」と明言する)
報告
- いつ・どこで・どのような状況でケガをしたかを口頭+書面で報告する
- 会社は「労働者死傷病報告書」を労働基準監督署に提出する義務がある
- 労災申請書類(様式第7号(3)など)の事業主証明欄への署名・押印を会社に依頼する
- 会社が「健康保険を使って」と言ってきた場合は応じなくてよい(労災隠しの可能性)
受診
- 受付で「労働災害での受診です」と伝える(健康保険証を出さない)
- 医師から診断名(腰椎捻挫・打撲など)を確認し、記録しておく
- 骨折・脱臼がある場合は医師の同意書が整骨院通院の前提となる
- 診断書のコピーを保管する(後の書類提出で必要になることがある)
へ
- 受付で「労災です・業務災害(または通勤災害)」と伝える
- 業務災害:様式第7号(3) / 通勤災害:様式第16号の5(3)を準備
- 骨折・脱臼の施術には医師の同意書が必要(捻挫・打撲は同意書不要)
- 書類の記載方法に迷ったら当院スタッフにご相談ください
提出
- 受任者払い対応施術所(都道府県労働局から指名を受けた施術所)の場合:施術所が書類を監督署に提出(患者自身の手続き不要なことが多い)
- 非指定機関の場合:患者本人が費用の領収書と請求書を所轄の労働基準監督署に提出
- 書類は厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナーから入手できる
- 不明点は所轄の労働基準監督署または労災保険相談ダイヤル(0120-006-110)へ
整骨院で労災を使うしくみ
「整骨院(接骨院)でも労災保険が使えるの?」と疑問に思う方が多いですが、柔道整復師の施術は労災保険の療養給付の対象です(厚生労働省「業務災害・通勤災害について」)。
- 給付対象となる症状:捻挫・打撲・挫傷(筋肉・腱の損傷)。骨折・脱臼は医師の同意書があれば対象(応急処置は同意書不要)。
- 窓口負担:受任者払い対応施術所(都道府県労働局から指名を受けた施術所)の場合は原則0円(業務災害の場合。通勤災害は初回200円の一部負担)。
- 健康保険との違い:健康保険は仕事中・通勤中のケガには適用されません。誤って使うと、後から返還を求められる場合があります。
- 受診の記録:労災認定の審査のため、いつ・どんな症状でケガをしたかの記録を残しておくことが大切です。
- アルバイト・パートも対象:雇用形態・勤続年数・国籍を問わず、すべての労働者が対象です(労働者災害補償保険法第3条)。
会社が手続きに協力しない場合も、労働者は自分で所轄の労働基準監督署に「療養給付の申請」ができます。書類の書き方がわからない場合は、監督署の窓口で教えてもらえます。
当院でよく見る来院パターン(院長観察)
以下は当院に労災対応でご来院された患者さんのよくある状況です(個人が特定できないよう要約。あくまで一般的な観察であり、個々の状況は異なります)。
倉庫作業でぎっくり腰のような状態になったが「休めない」と我慢し、数日後に動けなくなってから来院されるケースです。労災発生日と来院日が離れると、申請書類の日付の整合性を確認する必要が出ることがあります。ケガをした日の記録は当日に残してください。
通勤中に転倒して骨折し、「とりあえず保険証を出した」というケースがあります。受診した医療機関によって切り替え対応が異なるため、早めに受診先に「労働災害である」と申し出ることが重要です。当院でも相談に応じています。
「会社の保険料が上がるから」と言われたという声を聞くことがあります。しかし、労働者は会社の同意なしに労働基準監督署に直接申請できます。「どうすればいいかわからない」という場合は、まずご来院・ご相談ください。所轄の監督署の案内もできます。
よくある質問(FAQ)
施術歴14年以上。業務災害・通勤災害(労災)・交通事故による捻挫・打撲・骨折の整復に対応。
最終更新日:2026年7月26日
- 厚生労働省「業務災害・通勤災害について」(労災補償)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html - 厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」(様式第7号(3)・様式第16号の5(3))
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html - 厚生労働省「2-1 健康保険証を使って受診してしまいました。どうしたらよいでしょうか。」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154463.html - 厚生労働省「『労災かくし』は犯罪です。」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/rousai/ - 厚生労働省「労災保険に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/faq/rousaihoken/index.html
仕事中・通勤中のケガ、まずご相談ください
「書類の書き方がわからない」「会社に言いにくい」という方も、まずご来院ください。
柔道整復師の院長がご状況をうかがいます。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F