更年期 ツボ|ほてり・イライラ・不眠のタイプ別6つの経穴と押し方
【結論】更年期は日によって出方が変わるため、ツボも「6か所を毎日全部」ではなく、その日いちばんつらい1タイプだけを押すのが続けるコツです。ほてり・のぼせは足元3か所(三陰交・太谿・湧泉)、イライラは太衝と内関、不眠は神門。【自分でできること】息を吐きながら3秒かけて押す→5秒保つ→息を吸いながら3秒で戻す。1か所5回、1日1〜2回、夜を中心に。【受診の目安】不正出血、動悸に手の震えと体重減少を伴う、気分の落ち込みが2週間以上続く場合は、更年期と決めつけず婦人科・内科・心療内科へ。
・不正出血がある(生理以外の出血・閉経後の出血)
・動悸に手の震え・汗・体重減少が重なる(甲状腺の病気でも似た症状)
・強いだるさに息切れ・立ちくらみが重なる(貧血でも似た症状)
・気分の落ち込みが2週間以上続く、何にも興味がわかない、消えてしまいたい気持ちがある
いちばん下に当てはまる場合は今日中に心療内科・精神科へ。ほかの項目も、まず検査で原因をはっきりさせることが先です。
なぜ「タイプ別に1つだけ」なのか
更年期の不調は日によって主役が入れ替わります。「毎日6か所すべて」にすると、つらい日ほど続きません。その日いちばんつらいタイプを1つ選び、その経穴だけを押す——1タイプなら2〜3か所、3分ほどです。
息を吐きながら3秒かけて押す → そのまま5秒保つ → 息を吸いながら3秒かけて戻す。これで1セットです。1か所5回、1日1〜2回(就寝前専用の湧泉・神門は1日1回)。強さは「痛気持ちいい」まで。爪を立てず、指の腹で垂直に当てます。要点は息を止めないことで、押す動作より呼吸を主役にします。
ほてり・のぼせ・汗が出るタイプの3つの経穴
顔や上半身が熱くなるのに足先は冷たい——この状態では熱がたまる顔ではなく足元を使います。3か所とも足にあり、座ったまま押せます。
① 三陰交(さんいんこう・SP6)|夜、湯上がりに
位置:内くるぶしのいちばん高いところに小指を当て、指4本ぶん上。すねの骨(脛骨)の後ろ際のくぼみ。
押し方:親指の腹を骨の後ろ際に当て、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1〜2回。入浴後、足が温まっているときが押しやすい場所です。
② 太谿(たいけい・KI3)|足だけ冷えるのに顔がほてる日に
位置:内くるぶしのいちばん高いところと、アキレス腱との間のくぼみ。
押し方:親指と人差し指でアキレス腱をはさむように当て、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1〜2回。
③ 湧泉(ゆうせん・KI1)|頭に血がのぼって寝つけない夜に
位置:足の裏。足指を全部曲げたときいちばんくぼむところ(足裏の上から3分の1)。
押し方:ここだけは、押す前に手のひらの付け根で足裏を上下に30回(約30秒)さすってから始めます。足裏は皮膚が厚く、いきなり押しても届きにくいためです。そのあと親指を重ね、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1回(寝る前)。
イライラ・落ち着かないタイプの2つの経穴
「家族に強く当たって、あとで自分が嫌になる」——更年期のご相談で多い訴えです。足の甲と手首を使います。
④ 太衝(たいしょう・LR3)|家族に当たってしまいそうなときに
位置:足の甲。親指と人差し指の骨をたどって上がり、2本の骨が合わさる手前のくぼみ。
押し方:親指の腹をくぼみに当て、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1〜2回。響きやすい場所なので、強さは控えめから始めてください。
⑤ 内関(ないかん・PC6)|動悸がして落ち着かないとき・外出先で
位置:手のひら側の手首の横じわ中央から、ひじ側へ指3本ぶん。2本の腱の間です。
押し方:反対の手の親指を当て、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1〜2回。外出先では10秒押して10秒休むを3回でも行えます。袖で隠れる位置なので人前でも目立ちません。
寝つけない・途中で目が覚めるタイプの経穴
⑥ 神門(しんもん・HT7)|布団に入っても目がさえているときに
位置:手のひら側の手首の横じわ上。小指側の腱の、親指寄りのくぼみ。
押し方:布団に入ったまま、反対の手の親指を当て、共通の押し方で左右5回ずつ、1日1回(就寝直前)。秒数を数えることに気を取られると目がさえるので、呼吸に意識を置いてください。
寝つき全般は不眠 ツボ|寝つきを整える5つのツボもご覧ください。本ページは更年期の時期に絞り、その日のタイプで選ぶことが目的です。
6つの経穴 一覧表
| タイプ | 経穴 | 位置 | 押し方・秒数 | 回数 | 1日の頻度 |
|---|---|---|---|---|---|
| ほてり・のぼせ・汗 | 三陰交(SP6) | 内くるぶしから指4本上・すねの骨の後ろ際 | 吐きながら3秒→5秒保つ→吸いながら3秒 | 左右5回ずつ | 1〜2回(入浴後) |
| 太谿(KI3) | 内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ | 吐きながら3秒→5秒保つ→吸いながら3秒 | 左右5回ずつ | 1〜2回 | |
| 湧泉(KI1) | 足裏・足指を曲げたとき最もくぼむところ | 手のひらの付け根で30回さすってから、3秒→5秒→3秒 | 左右5回ずつ | 1回(寝る前) | |
| イライラ・落ち着かない | 太衝(LR3) | 足の甲・親指と人差し指の骨が合わさる手前 | 吐きながら3秒→5秒保つ→吸いながら3秒 | 左右5回ずつ | 1〜2回 |
| 内関(PC6) | 手首の横じわからひじ側へ指3本・腱の間 | 3秒→5秒→3秒/外出先は10秒押して10秒休む | 左右5回ずつ(外出先は3回) | 1〜2回(外出先は随時) | |
| 寝つけない・途中で起きる | 神門(HT7) | 手首の横じわ上・小指側の腱の親指寄り | 吐きながら3秒→5秒保つ→吸いながら3秒 | 左右5回ずつ | 1回(就寝直前) |
※位置はWHO西太平洋地域の標準経穴部位に準じます。「指◯本ぶん」は自分の指幅で測定。
やってはいけないこと・中止基準
- 6か所を毎日全部やろうとしない。その日いちばんつらいタイプ1つに絞る。
- ほてっている最中に熱い風呂・熱いカイロで温めない。ほてりのタイプは「温める」ではなく「足元を押す」考え方です。のぼせが強い日の長風呂は避けてください。
- 痛みが残るほど強く押さない。青あざが残る、翌日も痛むのは押しすぎです。
- 妊娠の可能性がある方・妊娠中の方は行わないでください。三陰交は妊娠中に避けるとされてきた経穴です。閉経が近い時期でも可能性はゼロではありません。
- ホルモン補充療法(HRT)や処方薬を自己判断で減らさない・中止しない。ツボ押しは薬の代わりではありません。変更は必ず処方した医師にご相談ください。
- 不正出血を「更年期だから」で済ませない。閉経後・生理以外の出血は、必ず婦人科で検査を受けてください。
- 気分の落ち込みが2週間以上続く場合はセルフケアの範囲を超えます。心療内科・精神科にご相談ください。
【中止基準】次のいずれかが起きたら、その場でやめてください。
・押している最中に動悸・冷や汗・気分不快 → すぐ中止して横になる
・押した場所が赤いまま、翌日も痛む → 数日あけて強さを半分に
・2〜4週間続けても変化がない → セルフケアにこだわらず婦人科へ。更年期の治療には薬による選択肢もあります
当院で「いちばんつらい」と話されること
🔑 当院に更年期の不調でご相談に来られる方は、ほてりや汗そのものより「前はできていた家事の段取りが決まらない」「家族に当たってしまう自分が嫌になる」ことをいちばんつらいと話されることが多くあります。また、肩こりや腰痛で通われている方が「実はここ何か月かよく眠れていない」と後から話されることも少なくありません。どちらも「更年期の症状」としてご本人の中で並んでいない点が共通します。だから本ページは、ほてりだけでなくイライラと不眠を同じ表に並べました。更年期の不調と鍼灸についてもご覧ください。
研究で報告されていること
質の高い研究があるのは「鍼(はり)」で、指圧に同水準の研究はほとんどありません。以下は鍼の研究で、そのままセルフケアの効果を示すものではありません。
ほてりのある閉経直後の女性72名を電気鍼と偽の鍼に半数ずつ分け、6週間で18回(週3回)施術した比較試験。主な経穴は合谷(LI4)・関元(CV4)・三陰交(SP6)・太谿(KI3)・復溜(KI7)・腎兪(BL23)。著者は「電気鍼はほてりを有意には改善しなかった」と結論づけています。一方で更年期症状(MRS)・生活の質(MENQOL)・睡眠の質(PSQI)は偽の鍼より改善が大きく(P<0.05)、その一部は追跡期間中も差が続きました。ホルモン値(E2・LH・FSH)は変わらず、有害事象は両群で同程度。
Wang HX, Yu XT, Hu J, Chen JJ, Mei YT, Chen YF. Journal of Integrative Medicine. 2025;23(5):519-527. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40846522/
系統的レビュー3件と比較試験4件をまとめた解析。鍼を行わない場合と比べ、ほてりの回数(標準化平均差 −0.66、95%信頼区間 −1.06〜−0.26、5試験)、強さ(−0.49、−0.85〜−0.13、4試験)、生活の質(−0.93、−1.20〜−0.67、3試験)で意味のある差が報告されました。ただし偽の鍼と比べると差は小さいか、意味のある差になりませんでした。著者自身が「効果の一部または全部が鍼に特有ではない効果によるかもしれない」と述べています。
Befus D, Coeytaux RR, Goldstein KM, McDuffie JR, et al. Journal of Alternative and Complementary Medicine. 2018;24(4):314-323. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29298078/
現在地は「ほてりを確実に減らすとは言えないが、睡眠や過ごしやすさでは報告がある」あたりで、当院でもツボ押しはつらい日をやり過ごす手立ての一つとしてご案内しています。
よくあるご質問
「歳のせい」で片づけずに、一度ご相談ください
「押す位置が合っているか分からない」「肩こりや腰痛も一緒に出てきた」——確認だけでもかまいません。症状によっては、まず婦人科・内科での検査をおすすめする場合もあります。福岡市城南区・南区・早良区から多数ご来院。月火木金土日祝 9:00〜12:30 / 15:00〜20:00(水曜定休)。
福岡市城南区樋井川2-1-62 マークス城南1F|西鉄バス「長尾公園前」徒歩1分|駐車場4台
- Wang HX, Yu XT, Hu J, Chen JJ, Mei YT, Chen YF. "Electroacupuncture for hot flashes in early menopause: A randomized sham-controlled trial." Journal of Integrative Medicine. 2025;23(5):519-527. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40846522/
- Befus D, Coeytaux RR, Goldstein KM, McDuffie JR, et al. "Management of Menopause Symptoms with Acupuncture: An Umbrella Systematic Review and Meta-Analysis." Journal of Alternative and Complementary Medicine. 2018;24(4):314-323. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29298078/
- WHO Regional Office for the Western Pacific. "WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region." 2008. https://iris.who.int/handle/10665/353407
監修:院長 河野太朗(柔道整復師)/経穴・鍼灸の記述:在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)の監修協力
最終更新日:2026年8月12日