耳鳴り|ツボ・セルフケア

耳鳴り ツボ|キーン・ジーに使う5つの経穴と押し方・受診すべきサイン|長丘はりきゅう整骨院

🚨 今すぐ119番——耳鳴りに次のサインが伴えば脳卒中の可能性

以下のうち1つでも当てはまる場合は、ツボを押す前にただちに救急車(119)を呼んでください。脳梗塞・脳出血・脳幹梗塞は発症から数時間以内の治療開始が予後を大きく左右します。

→ 脳卒中の可能性。ただちに119番へ。自分で運転しない。
🟠 48時間以内に耳鼻咽喉科へ——耳鳴りで急いで受診すべきサイン

突発性難聴は発症から48時間以内の治療開始が聴力回復の分かれ目とされています。「様子を見る」「ツボ押しで対処する」ことは避け、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。片側だけの拍動性耳鳴りは耳鼻咽喉科(場合により脳神経外科と連携)での画像検査が必要になることがあります。

【このページについて】上記の緊急サインがなく、慢性的に続く「キーン」という高音の耳鳴り・「ジー」「ブーン」という低音の耳鳴りでお悩みの方向けのセルフケア情報です。東洋医学で古くから耳鳴りに用いられてきたツボを5つ、位置の探し方・押し方・秒数・回数・頻度の実数つきで解説します。

ツボ押しは医療行為ではなく、緊急性を除外したうえでの補助的なセルフケアです。「2週間続けても変化がない」「症状が悪化する」場合は耳鼻咽喉科・整骨院・鍼灸院を受診することをお勧めします。

📊 耳鳴りと鍼・ツボ押しに関するエビデンスについて

Huangらのシステマティックレビュー・メタ解析(Acupunct Med, 2021)では、鍼治療群と対照群を比較した結果、主要評価指標のVASスコアには有意差が認められませんでした。一方、副次評価指標である耳鳴苦痛度(THI)・耳鳴重症度(TSI)スコアには改善が見られています。ただし著者らは「対象試験の質が低く、症例数も少ないため、確定的な結論を導くには証拠が不十分」と結論づけています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32772848/)。また、Xuらによる既存レビューの総覧(Front Neurol, 2022)では、14件のシステマティックレビュー・メタ解析を評価した結果、方法論の質は全体的に低く(AMSTAR-2でほとんどが「非常に低い」評価)、GRADE評価でも「高品質のエビデンスは1件もない」とされています(PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36468042/)。現時点では耳鳴りへの鍼・ツボ押しの効果は「伝統的に用いられてきた」レベルであり、確立した高品質のエビデンスは限られていることをご理解のうえでお読みください。

📋 このページの内容
  1. 「キーン型」と「ジー型」——耳鳴りのタイプの違い
  2. ツボ①:翳風(えいふう)——耳の後ろ・共通で使える基本のツボ
  3. ツボ②:聴会(ちょうえ)——耳の前・口を開けて探すツボ
  4. ツボ③:風池(ふうち)——首こりを伴う耳鳴りに
  5. ツボ④:中渚(ちゅうしょ)——ストレス性の「ジー型」に
  6. ツボ⑤:太渓(たいけい)——加齢・疲労性の「キーン型」に
  7. 5つの経穴 一覧表
  8. やってはいけないこと・中止基準
  9. よくあるご質問

「キーン型」と「ジー型」——耳鳴りのタイプの違い

耳鳴りは音の高さで大きく「キーン型(高音)」「ジー型・ブーン型(低音)」に分けて語られることがあります。どちらのタイプかによって、意識しておきたいポイントが変わります。

「キーン」型——セミの声のような高音が続くタイプ

「ジー」「ブーン」型——低く連続する音のタイプ

どちらのタイプでも、まず前述の緊急ボックスに当てはまらないかを確認したうえで、以下のツボをお試しください。

5つの経穴——位置・押し方・実数

共通して使える耳まわりの3つのツボ(翳風・聴会・風池)と、タイプ別に使い分ける2つのツボ(中渚・太渓)を紹介します。

ツボ ①
翳風(えいふう)
TE17 / Yifeng
📍 位置の探し方 耳たぶを軽く後ろに倒したとき、耳たぶのすぐ後ろ(耳の付け根)と顎の骨(下顎骨の後縁)との間にできるくぼみ。耳の下端の高さで、指を当てるとくぼんでいるのが分かる。

翳風は「三焦経」に属し、東洋医学では耳の血流・耳鳴り・耳の詰まり感に伝統的に用いられてきたツボです。耳のすぐ後ろにあることから、耳鳴りのツボの中でも最も基本的な一穴として選ばれます。人差し指か中指の腹をツボに当て、下顎骨の後縁に向かってやさしく押します。

  1. 座った姿勢で、両手の人差し指か中指の腹を左右の翳風に同時に当てる。
  2. 少し顎を引き、指の腹で下顎骨方向に向かってゆっくり押す。
  3. 「じわっとした圧迫感」が感じられる強さで止める。
  4. ゆっくり離す。
1回の押し時間3〜5秒
繰り返し回数5回/セット
左右両側同時
1日の頻度2〜3回
⚠️ 耳の痛み・耳に炎症がある(外耳炎・中耳炎等)時は押さないでください。急な難聴・耳の詰まりを伴う場合はツボを押す前に耳鼻咽喉科を受診してください。
ツボ ②
聴会(ちょうえ)
GB2 / Tinghui
📍 位置の探し方 耳の穴のすぐ前・軟骨の出っぱり(耳珠・じじゅ)の下側。口を軽く開けるとくぼみができる場所で、口を閉じるとくぼみが浅くなる。左右の耳の前を指で押さえながら口を開閉すると見つけやすい。

聴会は「胆経」に属し、耳の直前にあることから東洋医学では耳鳴り・難聴・耳の詰まり感に伝統的に用いられてきたツボです。翳風(耳の後ろ)と対にして、耳を前後から挟むように使われることが多い経穴です。人差し指の腹を軽く口を開けた状態で押します。

  1. 口を軽く開け、人差し指の腹を左右の聴会に当てる。
  2. 耳の穴に向かってやさしく、垂直方向に押す。
  3. 「耳の奥に響くような感覚」が出る強さを目安にする。
  4. ゆっくり離し、口を閉じる。
1回の押し時間3〜5秒
繰り返し回数5回/セット
左右両側同時
1日の頻度2〜3回
翳風(ツボ①)とセットで、耳を前後から挟むように押すと耳まわり全体に働きかけやすくなります。
ツボ ③
風池(ふうち)
GB20 / Fengchi
📍 位置の探し方 後頭部の付け根・後頭骨下縁にある左右対称のくぼみ。首の後ろ中央にある太い筋肉(僧帽筋と胸鎖乳突筋の間)のくぼみで、髪の生え際より少し上の部分。両親指で同時にさぐると見つかりやすい。

風池は「胆経」に属し、東洋医学では首こり・後頭部の張りに伴う耳鳴り・頭重感に伝統的に用いられてきたツボです。首や肩のこりが強い時期に耳鳴りが増強しやすい方には、まずこのツボから試していただくことをお勧めします。首の中心(頭蓋骨)に向かって親指でやさしく押します。

  1. 座った状態で、両手を後頭部に回して親指の腹を左右の風池に当てる。
  2. 後頭骨の内側に向かって(斜め上方向)ゆっくり押す。
  3. 「首全体がじんわり温かくなる・後頭部がほぐれる」感覚を目安にする。
  4. ゆっくり離す。
1回の押し時間3〜5秒
繰り返し回数5回/セット
左右両側同時
1日の頻度2〜3回
⚠️ 首・後頭部に鋭い痛みがある・首を動かすと激しいめまいが誘発される場合は押さないでください。頸椎に問題がある方(頸椎ヘルニア・頸椎症など)は整骨院・整形外科に相談してから行ってください。
ツボ ④
中渚(ちゅうしょ)
TE3 / Zhongzhu
📍 位置の探し方 手の甲側、薬指と小指の骨(第4・第5中手骨)の間、指の付け根の関節から手首側に指1本分ほど下がったくぼみ。手を軽く握ると骨の間の溝が分かりやすい。

中渚は「三焦経」に属し、耳とつながりが深いとされる経絡の要穴です。東洋医学では、ストレスやイライラを伴って急に強く出る「ジー型・ブーン型」の耳鳴りに用いられてきました。反対の親指の先で骨と骨の間に押し込むように刺激します。

  1. 片方の手を軽く握り、反対の親指を薬指と小指の骨の間に当てる。
  2. 骨の間の溝に沿って、手首側に向かってやや強めに押す。
  3. 「じんとした響き」が指先まで広がる強さを目安にする。
  4. ゆっくり離す。反対側も同様に行う。
1回の押し時間5〜8秒
繰り返し回数5回/セット
左右両側
1日の頻度2〜3回
デスクワークの合間や、イライラ・緊張を感じた時に手軽に押せるツボです。会議中や電車の中でも行えます。
ツボ ⑤
太渓(たいけい)
KI3 / Taixi
📍 位置の探し方 内くるぶし(内果)の頂点とアキレス腱の間にあるくぼみ。内くるぶしの一番高いところから、アキレス腱に向かって指を滑らせると触れるくぼみの中央。

太渓は「腎経」の要穴で、東洋医学では「腎は耳に開竅する(耳は腎の状態を反映する)」という考え方があり、加齢や疲労の蓄積に伴って慢性的に続く「キーン型」の耳鳴りに用いられてきました。足を組んで座り、反対の親指の腹でくぼみに向かって押します。

  1. 椅子に座り、片足をもう一方の膝の上に乗せる。
  2. 反対の親指の腹を内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみに当てる。
  3. 骨に向かってゆっくり垂直に押す。
  4. 「じんわり温かくなる」感覚を目安に、ゆっくり離す。反対側も同様に行う。
1回の押し時間5〜8秒
繰り返し回数5回/セット
左右両側
1日の頻度1〜2回
入浴後、体が温まった状態で押すのが最もやさしく刺激できるタイミングです。寝る前の習慣にする方もいます。
🔎 当院の現場から

当院に耳鳴りを主訴に来院される方の多くは、同時に首や肩のこりを訴えられる傾向があります。あくまで当院での現場の傾向であり、すべての耳鳴りに首こりが関わっているわけではありません。

5つの経穴 一覧表

ここまで紹介した5つのツボの位置・押し方の実数を一覧にまとめました。

経穴名 位置 1回の秒数 回数 1日の頻度 向くタイプ
翳風(えいふう) 耳たぶの後ろのくぼみ 3〜5秒 5回 2〜3回 共通
聴会(ちょうえ) 耳の穴の前・口を開けたくぼみ 3〜5秒 5回 2〜3回 共通
風池(ふうち) 後頭部の付け根のくぼみ 3〜5秒 5回 2〜3回 共通・首こり型
中渚(ちゅうしょ) 手の甲・薬指と小指の骨の間 5〜8秒 5回 2〜3回 ジー型(ストレス性)
太渓(たいけい) 内くるぶしとアキレス腱の間 5〜8秒 5回 1〜2回 キーン型(加齢・疲労性)

やってはいけないこと——中止基準と注意点

⚠️ ツボ押しを中止して受診が必要なサイン

やってはいけない動作・注意点

耳鳴りの原因(加齢性・ストレス性・首こりとの関係・突発性難聴との見分け方)や、整骨院・鍼灸での施術内容については、こちらの詳しい解説ページをご覧ください。

耳鳴りの原因と整骨院・鍼灸での対応を詳しく見る →
よくあるご質問
耳鳴りのツボ押しはどのくらい続けると変化を感じますか?+
個人差があり、何日で変化が出るかを特定することはできません。ツボ押しは医療行為ではなく、緊急性を除外したうえでの補助的なセルフケアです。「音が少し気にならなくなった」と感じる方もいれば、変化を感じない方もいます。2週間以上毎日続けても症状が変わらない・悪化する場合は、耳鼻咽喉科または整骨院・鍼灸院を受診してください。突発性難聴や脳卒中のサインがある場合はツボ押しより先に受診が最優先です。
キーン型とジー型でツボの使い分けはありますか?+
東洋医学の考え方では、突然始まって高い音が続く「キーン型」でストレス・イライラを伴う場合は中渚(ちゅうしょ/手の甲)を、慢性的に続く「ジー型」で疲労感・加齢を伴う場合は太渓(たいけい/内くるぶし)を使い分けることがあります。ただしこれは伝統的な考え方に基づく目安であり、医学的な診断分類ではありません。どちらのタイプでも翳風・聴会・風池の3つは共通して使えます。
片側だけの耳鳴りでもツボを押していいですか?+
片側だけの耳鳴りに難聴や耳の詰まった感じを伴う場合は、突発性難聴の可能性があるためツボ押しより先に48時間以内の耳鼻咽喉科受診を優先してください。また、脈を打つようにドクドク・トクトクと聞こえる「拍動性耳鳴り」が片側だけに続く場合は血管が関係している可能性があり、こちらも自己判断でのツボ押しより先に耳鼻咽喉科(場合により脳神経外科と連携)での検査をお勧めします。上記に当てはまらない片側性の耳鳴りであれば、このページのツボを試していただいて構いません。
妊娠中に耳鳴りのツボを押してもよいですか?+
このページで紹介している5つのツボ(翳風・聴会・風池・中渚・太渓)は、一般的に妊娠禁忌とされる合谷・三陰交・至陰等とは異なります。ただし妊娠中は全身の感受性が高まっており、ツボへの刺激に対する反応が通常と異なる場合があります。妊娠中に使用される場合は、必ず産婦人科主治医または当院に在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)に相談したうえで行ってください。
ツボ押しを続けても耳鳴りが変わらない場合はどうすればよいですか?+
2週間以上続けて変化がない・症状が悪化する場合は、耳鳴りの原因が別にある可能性があります。耳鼻咽喉科(聴力検査・中耳や内耳の評価)、場合によっては脳神経外科(拍動性耳鳴りの血管評価)で原因を確認したうえで、改めてセルフケアを検討することをお勧めします。当院でも、首や肩のこりを伴う耳鳴りに対して、在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)による鍼灸施術を行っています。
【執筆・監修者情報】
河野太朗
柔道整復師|施術歴14年以上
長丘はりきゅう整骨院(福岡市城南区)院長
Google口コミ★4.9(209件)
ツボ記述については、当院に在籍する国家資格をもつ鍼灸師(はり師・きゅう師)が監修協力しています。
参考文献・出典
1. Huang K, Liang S, Chen L, Grellet A. "Acupuncture for tinnitus: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials." Acupunct Med. 2021;39(4):264-271.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32772848/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Kai Huang 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。「証拠は確定的な結論を導くには不十分」と論文内で明記。このページでも同様に記述。)
2. Xu X, Xie H, Liu Z, Guo T, Zhang Y. "Effects of acupuncture on the outcome of tinnitus: An overview of systematic reviews." Front Neurol. 2022;13:1061431.
 PubMed URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36468042/(自己検算:タイトル・筆頭著者 Xin Xu 一致・Expression of Concern / Retraction なし確認済み。既存レビュー14件の方法論的質は「全体的に低い」、GRADE評価で「高品質のエビデンスなし」と論文内で明記。このページでも同様に記述。)

最終更新日:2026年8月13日

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